底知れない日本酒の沼 オオサカ日本酒マニア 底知れない日本酒の沼 オオサカ日本酒マニア

Scroll
公開日2020.10.30

紹介してくれるマニアさん

イラストレーター富 圭愛(とみ かあい)さん

2000軒以上の店を飲み歩く呑んべえ。「関西女のプチ日記」が人気で、スポーツ誌にて酒場記事も担当。ひとり酒や立ち飲みを好み、訪れる店も大衆酒場やディープ酒場から、女性ひとりでも楽しめるお店まで幅広い。

幅広い世代から愛され、専門店が増加中!

巷で耳にする“酒ばなれ ”とは裏腹に、実は20〜30代の若い層や女性にもファンが多い日本酒。ふくよかな甘みの純米酒やフルーティで華やかな風味の吟醸酒、スッキリ辛口の本醸造酒など様々な味わいがあるのも魅力のひとつ。大阪でも日本酒に特化したお店が続々と誕生しています。ビールやハイボール、酎ハイもいいけど、アルコール度高めでフワッとほろ酔いになる感覚は日本酒ならでは。まさに“お酒を嗜む”に適していると思いませんか?ここでは、ツウから日本酒ビギナーまで楽しめるように、「日本酒の品揃えが豊富」「初めてでも入りやすい」「女性ひとりでも楽しめる」というポイントでお店をセレクトしました。

  • ※当サイトにて記載の営業時間については、通常業務の時間となります。詳細は各店舗・スポットにてご確認ください。
目次

蔵の世代交代で今までにない日本酒が誕生

世代交代により、蔵の伝統的な銘柄を残しつつ、DNAを受け継いだ今までにない日本酒が急増中!若手杜氏が生み出す日本酒は、“ザ・日本酒”とはまた異なる風味で飲みやすさ重視の銘柄も誕生。ボトルやラベルも洒落ているのが、女性からも支持される理由かもしれません。

スッキリとした飲みやすい日本酒がトレンドに

純米酒や吟醸酒もいいけど、ハイコスパでスッキリ飲みやすい醸造酒が現在のトレンド。日本酒はクセがあるという認識を今すぐ捨ててください!商いの街・大阪ならではの隠れた銘柄のほか、全国各地の多種多様な地酒を取り揃える店が多いので、テイスティングして好きな銘柄を見つけてみてはいかがでしょうか。

大阪にいながら蔵元・香川にトリップさせる実力派

「打ちたて讃岐うどん×香川の地酒」のペアリング!

銘柄に合わせてシャンパングラスにて提供することも。
今年の5月にオープンした、香川のイイトコが詰まった立ち呑み店!ビル2Fで立ち呑みと珍しいスタイルで、感度の高い淀屋橋・本町エリアのユーザーからすでに支持を集めています。打ちたての自家製讃岐うどんやおでんに加えて、日本酒も香川の銘柄に絞ってセレクトしているとか。「日本酒は僕が生まれ育った香川の観音寺にある『川鶴』さんの銘柄をセレクト。少しでも地域に還元したい」と店主の平野さん。
ラインナップは純米酒をはじめユニークな銘柄など約10銘柄を揃えています。店主の推しはすっきりとしながらボリュームのある「ハートアンドソウル」(400円)。米の収穫を手伝った酒屋だけが仕入れできる逸品で、ネーミング通りの人情味に溢れた銘柄です。変わり種は「讃岐くらうでぃ」(400円)で、白い濁りと酸味がカルピスを彷彿とさせる飲み心地。甘口で飲みやすくも、米の風味を残した絶妙なバランスは他では味わえません。
食べ応えある太麺が特徴の「醤油うどん」(600円)。醤油や薬味は別添えで。
肝心のうどんは、香川の小さな製麺所が築き上げてきたクラシックスタイルを参考に。小麦の香りがふんだんに感じられる極太麺は、コシがありモチっとした食感が特徴です。濃いめの甘口醤油と相性が良く、ピリ辛好きは辛口のラー油で味変もOK。うどんがあれば、おでんもあるのが本場の香川流。関西人の口に合うように薄口醤油で少し甘めに仕上げているとのこと。最後は〆に打ってつけの日本酒の「出汁割り」(100円)を注文するのをお忘れなく。
ゆったりとしたスペースでガラス張りの窓が開放感を演出。
また、オーダーにも工夫を凝らす同店。券売機で400〜10,000円のチケットを購入して、注文毎に渡すスタイルです。くじ引きの要素も取り入れ、ドリンク2杯無料やボトルが1本丸ごと付いてくることも。さらには、くじで当たらないと頼めない裏メニュー「愚痴聞き券」といった小ネタも登場します。
“うどん”の提灯を目印に北へ進むと、入口へとつながる階段が登場。
チケット制だからこそ、奢ったり奢られたりする機会が多いのも同店の醍醐味。残ったチケットはボトルのようにキープできるので、大きめの金額でキープチケットがお得です。

★マニアさんのおすすめポイント★
自家製讃岐うどんとおでんを揃える香川流の立ち呑みが新鮮!
[sake_01]店舗情報

店主のセレクトに心酔できる一軒

蔵元顔負けの日本酒愛で、日常に寄り添う日本酒をセレクト

新世界の西。恵美須町のディープスポットにひっそり佇む。
「非日常ではなく、日常に寄り添えるお店でありたい。そのテーマに合わせて、40種ほどある日本酒は飽きずに飲み続けられる銘柄を置いていますね」と語るのは店主の小沼さん。日本酒イベントが多い大阪の特性を活かして、酒蔵・酒屋との顔を合わせたコミュニケーションに注力しています。その対話のなかで、“作り手の想い”が見えるお酒のみをセレクト。特に家族経営など小規模の酒蔵の銘柄を仕入れることが多いとか。また、それぞれの日本酒が育まれた土地の特性から歴史まで理解したうえで、年度ごとの味の違いやその理由まで教えてくれます。
当日のメニューはtwitterで更新しているのでチェックを。
初めて訪れるという方には、ランチタイムがおすすめ。名物の「昼呑セット」(819円※要予約)はおまかせの肴5品と500円以下の好きなお酒を組み合わせたお得なメニューです。せっかく呑むなら、昔から仕入れている滋賀県の「初桜」と岡山県の「大正の鶴」(90cc/300〜800円程度)を。夜も予約制で、料理は3品または5品のおまかせコース(3品1,273円、5品2,091円)のみ。ゆったりとした雰囲気のなかで、落ち着いた味わいの日本酒をちびちびやるのがクセになります。
コンクリート打ちっ放しと、プラスチック箱や木目のカウンターが相性の良い店内。
不定期で月に1度“投げ銭ライブ”が開催されるのも同店ならでは。世界的なジャズアーティストや全国放送のお笑い賞レースで決勝進出したスタンドアップコメディアンなど、音楽から笑いまで多岐にわたるジャンルをカバーしています。「バックチャージはゼロ。みんなが楽しんだ分だけおひねりを入れるのが、大阪らしさですね」と語る小沼さん。ゲストはもちろん酒屋・酒蔵からも愛されているディープ酒場です。

★マニアさんのおすすめポイント★
昼夜ともに完全予約制。昼飲みから定食ランチまでカバーしているので覚えておきたい一軒です。
[sake_02]店舗情報

昭和の大衆酒場にふらっと立ち寄った気分に

創業から継ぎ足すダシをアテに日本酒を堪能

コの字型のカウンターと店の隅にはテーブル席も完備。
昭和にタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気をそのままに残した、創業から60年以上続く老舗の大衆酒場。店内には、今は製造されていない熱燗用の酒温器や水冷式のビールサーバーなど、昭和を生きた世代にとって嬉しい設備が現役で活躍しています。さらに、店主の趣味が幅広いという点も魅力の一つ。演劇からアニメ、K-POPまでカバーしているので、趣味の話を通じて若い世代も自然体で楽しめます。とはいえ、「1人でゆったりしたい方もいるので、基本はあえて話しかけないスタンスです」と話すのは店主の宮本さん。
グラスから升へ、升から器へ溢れ出すよう注がれた様子にそそられます。
常時10種類ほど揃える日本酒は、古い付き合いの酒屋から店に合う銘柄を仕入れているとか。原酒や季節酒、希少な限定酒など同店ならではの銘柄がずらりと並んでいます。なかでも、今の時期のオススメは大阪・能勢で生まれた「秋鹿 超辛口 純米吟醸」(150ml/750円)。数値が高いほど辛口となる日本酒度は+6を超えると大辛口と言われるなか、なんと+14でネーミング通りの超辛口!口当たりが良く、洗練された米の旨みや甘みをふんだんに感じられる1杯です。
おでんは20種以上。ちくわぶは少数限定なので電話で確認もOK。
そんな辛口の日本酒のアテには、創業からダシを継ぎ足しているおでんを。鰹と昆布の魚介ダシをベースに、野菜・肉の旨みをプラスして薄口醤油で味を調えた自慢の逸品です。優しい甘みに飽きることなく、ダシをアテに日本酒を飲むのも同店の楽しみ方。ネタは大根や卵などの定番から、関西では珍しいちくわぶも(100〜350円)。ほかには、わざわざ「置いといて」と電話で連絡が入るほどファンが多い「湯どうふ」(400円)もご賞味あれ。
オフィス街にふと現れる天満橋のオアシス。
酒好きならつい足を止めてしまう渋めの店構えが名店の証。すぐ横のホテルにチェックインしている芸能人や海外の観光客もふらっと訪れ、そのままリピーターになることも多いそうです。「ええ店知ってるで」と言うためにも、足繁く通って常連を目指してみませんか?

★マニアさんのおすすめポイント★
常連になって誰かを連れて行きたくなるレトロな大衆酒場です。
[sake_03]店舗情報

和モダンな酒屋で角打ち。日本酒巡りの旅に出かけよう

日本酒との相性もバッチリ、糀を用いた料理をアテに

クラシックな佇まいにポップなカラーリングをプラスした酒器の数々。
大阪天満宮のすぐ前にある酒屋が営む和モダンな雰囲気の角打ち。黒とグレーを基調としたスタイリッシュな店内で椅子も完備と、女性だけでも入りやすい雰囲気です。日本酒にも使われる糀を用いたオシャレなアテも人気だとか。こだわりは酒器や料理皿にまで行き届き、陶器作家さんに依頼してオリジナルの器を作っているとのこと。飲み口は薄めでなめらかに仕上げ、すっきりとした口当たり、飲み口で日本酒を味わえます。さらに、1杯90ccにて提供して、30種ほどの銘柄を飲み比べるのに丁度よいボリュームです。また、日本酒一つひとつの仕入れにも、社長を含めスタッフ10人弱で話し合っているとか。幅広い年齢や経験を持った日本酒好きが、味や香りのみならずボトル・ラベルといった見た目も意識してセレクトしています。
卸値のかからない酒屋だからこそできる破格の飲み比べセット。
ラインナップは酒屋ならでは。全国各地の地酒を幅広く置いているので、全国行脚した気分で飲み比べを満喫できます。イチオシはおちょこ4杯を自由に組み合わせできるお得な「のみくらべ4種」(880円)。升にはおちょこの横にイロハニの文字が刻まれ、オーダー用紙と照らし合わせができる仕様に。気に入った銘柄を後からでもチェックできるのが嬉しいポイントです。秋から冬の時期のおすすめは、梅酒のような味わいで酸味が心地よい「花巴」と、フルーティな香りボリューム感のある米の旨みがマッチした熱燗専用酒「洌 燗酒純米」(各390円)。
名物の糀を用いた「トマトの吟醸酒粕漬け」(390円)
また、和食を基本テーマに、洋食のエッセンスや季節の食材を取り入れた料理にも注目を。特に、醤油・味噌・塩麹など糀を使った同店ならではのアテは、日本酒と相性抜群です。
クラシックな和の雰囲気にモダンテイストを取り入れた店。
“日本酒のあるライフスタイル”を提案している同店。販売用の日本酒は、気軽に手に取れるよう、一升瓶ではなく4合瓶を中心に展開しています。家での一人飲みやギフトにもぴったりで、本店の「酒高蔵」では日本酒のほか梅酒やワインなどフルラインナップがお出迎え。

★マニアさんのおすすめポイント★
スタイリッシュでオシャレな酒屋の一角で多彩な日本酒を楽しめます。
[sake_04]店舗情報

“立ち呑み割烹”現る!日本料理をアテに辛口の日本酒を

本格割烹の味をアテにコスパ◎な立ち呑みを堪能

知らないと通る機会のない路地裏で存在感を醸し出す店構え。
元は割烹店を営んでいた店主が振る舞うアテと日本酒のマリアージュが堪能できる立ち呑み処。日本料理と40年以上向き合った腕前を活かし、メニューは約100種類を揃えます。「割烹で出すような本格的な日本料理も多いですが、あくまで“アテ”として。日本酒の味わいを引き立たせるよう仕上げています」と店主の一言。辛口のスッキリとした日本酒が多いため、アテはあっさりとした味付けが多いとか。その相性の良さに、いつも以上に酒が進んでしまいます。日本酒のラインナップは定番を約20種、その都度仕入れる銘柄を10種ほど。
卓上にこれだけ並んでも2,000円以下のハイコスパ。
なかでも店主イチオシは山形の地酒「上喜元 純米」(450円)。雑味のないシンプルな味わいで、純米酒ならではのフレッシュさが日本酒ツウの舌を唸らせます。升に溢れるほどに注がれているため、実質2合弱のボリュームはありそうです。人気のアテは、肉厚でジューシーな「〆さばあぶり」(380円)、見た目にも上品で割烹を象徴する「ゆば蒸し生姜あんかけ」(480円)、キレのある醤油と大葉の香りが食欲をそそる「豆腐ステーキ」(380円)。
卓ごとに充分なスペースを設けているためゆったり過ごせます。
心地よいくらいに食べ呑みしても、2,000円でお釣りがくるリーズナブルな価格も通いたくなる魅力です。ほかにはない“立ち呑み割烹”スタイルで、アテにもこだわる日本酒好きが集まっています。木目調の内装と電球のオレンジがほっこりレトロな雰囲気で、しっぽりやりたいときに足を運びたい名店です。

★マニアさんのおすすめポイント★
立ち呑みにして小料理割烹風な粋なアテが充実しています。
[sake_05]店舗情報
【編集後記】
取材を通じて感じたことは、“日本酒は知識がなくたって楽しめる”ということ。多彩なアテと、店主の語りと、店の雰囲気と、音楽とだって、楽しみ方は人それぞれ。カジュアルに日本酒を飲みすすめるなかで、銘柄の違いも自分の好みも、きっと見つかるはずです。先ずは、今回ご紹介したお店で様々な日本酒スタイルに出合って楽しんでみてください!
Let's Share!
Other Spot
  • 立ち呑み 大阪イチマルマルマル
    • 四つ橋線 肥後橋駅
    More
  • あなぐま亭
    • 堺筋線 恵美須町駅
    More
  • みやい
    • 谷町線 天満橋駅
    More
  • 糀-コメノハナ-
    • 堺筋線 南森町駅
    More
  • 立ち呑み処 ひさまつ
    • 御堂筋線 淀屋橋駅
    • 堺筋線 北浜駅
    More
  • 粋なおつまみとお酒 にこ
    • 谷町線 南森町駅
    • 堺筋線 南森町駅
    More
  • 日本酒 CONNECT KITAHAMA
    • 堺筋線 北浜駅
    More
  • 立喰酒場 金獅子 西中島南方店
    • 御堂筋線 西中島南方駅
    More
  • 日本酒こころのバー
    • 御堂筋線 なかもず駅
    More
  • わとい
    • 千日前線 日本橋駅
    • 堺筋線 日本橋駅
    More
  • 日本酒うなぎだに
    • 御堂筋線 心斎橋駅
    • 長堀鶴見緑地線 心斎橋駅
    More
  • かんちゃん
    • 谷町線 天神橋筋六丁目駅
    • 堺筋線 天神橋筋六丁目駅
    More
  • スタンド 富
    • 御堂筋線 天王寺駅
    • 谷町線 天王寺駅
    More