足元を彩る隠れアート オオサカマンホールマニア 足元を彩る隠れアート オオサカマンホールマニア

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公開日2023.07.10

紹介してくれるマニアさん

鉄蓋観賞愛好家白浜公平(しらはまこうへい)さん

マンホールマニア=マンホーラーの第一人者で、『マンホールナイト』(マンホールマニアのためのイベント)実行委員。「下水道広報プラットホーム」終身会員。テレビ朝日『タモリ倶楽部』やTBS『マツコの知らない世界』など、メディア出演も多数で、「これまでに訪れたマンホールの数は、優に1万は超えている」とのこと。

ブログから広がった“マンホーラーの輪”

私がマンホーラーとして活動する、記念すべき1枚となったのは、≪JAXA筑波宇宙センター≫のあるつくば市で見つけた“宇宙っぽい”マンホール蓋。実はそのときは、なんとなく存在が気になって撮影した程度のものでした。
マンホールに沼ることを確信したのは2枚目のマンホールです。「平成の大合併」で消失した町の名が記されたマンホール蓋で、町自体はもう存在しないのに、マンホールは現役で活躍していることに、レアな魅力を感じたのです。
当時はSNSなどない時代でしたので、自分の足でひたすら歩いてはマンホール蓋を撮影し、ブログ上でコレクションを増やしていきました。そのブログのコメント欄から始まったマンホーラーの輪も、年を追うごとに広がりを見せ、2022年に開催された、マンホール蓋に特化したイベント『マンホールサミット』(下水道広報プラットホーム主催)には、全国から約14,000人ものマンホーラーが集まりました。

その土地の文化や歴史を知る手がかりにも

地域独特の絵柄が描かれた、いわゆる“ご当地マンホール”が盛んに設置されるようになったのは、1980年代に入ってからだといわれています。その地域の名物や観光スポットがモチーフにされていることが多く、私自身も、マンホール蓋を見て「〇〇を食べてみよう」「〇〇を見に行ってみよう」などと、実際に活用することがあります。
大阪ではなんといっても、大阪市内に多数設置されている「大阪城」のマンホール蓋が有名ですが、その他にも、「太陽の塔」や地域のマスコットキャラクターが描かれたものなど、大阪ならではのマンホール蓋がさまざまにあります。一方、長い歴史を刻み続けるマンホール蓋も目にすることができ、マンホールを通して、大阪の歴史や文化に触れることができます。

ウォーキングを兼ねてマンホール巡りを

ご紹介するマンホールはいろいろな場所に点在しているので、ルートを決めてウォーキングを兼ねて巡ってみるのがおすすめ。移動にはなんといっても、大阪市内を中心に縦横無尽に走る、Osaka Metroが便利です。
写真を撮りたいときは、恥ずかしがらずに堂々とカメラを構えるのがポイント(笑)。くれぐれも、通行人や車のじゃまにならないよう気をつけてください。
目次

大阪・関西万博の公式キャラクター

開催への期待を高める、躍動感のあるデザイン

今、大阪で、いや全国でいちばんホットなマンホール蓋といえばこちら!2025年に開催される『2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)』に向け、公式キャラクター・ミャクミャクが描かれたマンホール蓋が、大阪市内を中心に、次々と姿を現しています。
パッと目を引くカラフルなデザイン。開催への期待が高まる。
ミャクミャクは「赤い部分」(細胞)と「青い部分」(清い水)でできた、変幻自在のふしぎな生き物。あらゆる可能性を宿しており、人間のすばらしさが「脈々」と、未来へ受け継がれていくことを願って、その名がつけられました。

実はマンホール蓋のミャクミャクは、大阪・関西万博の公式ロゴマークに、ミャクミャクの青い部分を組み合わせた姿を描いたもの。頭の中で、ミャクミャクの青い部分が無い状態をイメージすると、ミャクミャクの赤い部分と「EXPO2025」の文字で構成される、大阪・関西万博の公式ロゴマークが浮かび上がってくるのではないかと思います。
またマンホール蓋の文字部分の上に、ミャクミャクの足が乗っているところもデザインのポイントとなっており、ミャクミャクがマンホールから飛び出してきたような躍動感を感じさせます。
「他ではあまり見られない、斬新なデザイン」と、白浜さんも絶賛。
ミャクミャクのマンホール蓋は2022年にお目見えし、まずは大阪城公園周辺や大阪市役所本庁舎周辺をはじめとする市内10カ所に、先行的に設置されました。中でも白浜さんのイチオシは、Osaka Metro森ノ宮駅3-B号出口を出てすぐにあるマンホール蓋で、「遠くに見える大阪城を背景に撮影することができます」。
緑あふれる大阪城公園と、マンホール蓋をいっしょに撮影できる絶好のポイント。
引き続き大阪市内と、府内全域への設置が進められており、最終的にその数は市内だけでも400カ所に達する予定だということです。
大阪市役所本庁舎(最寄り駅:御堂筋線 淀屋橋駅)のマンホール蓋は、堂島川に面した北玄関前にある。
大阪市役所本庁舎の正面玄関を入ってすぐのロビーには、ミャクミャクのマンホール蓋を紹介する展示スペースがある。
★マニアさんのおすすめポイント★
他にはない、躍動感のあるデザイン。Osaka Metro森ノ宮駅を出てすぐのマンホール蓋は、大阪城を背景に撮影することができ、大阪らしさ倍増です。
[manhole_01]店舗情報

大人気マンガのヒーローがマンホール蓋に

大阪市出身の作者ゆかりの地と、主要観光地の計6カ所に設置

1979年に週刊少年ジャンプで連載開始、1983年にアニメ化され、2011年より新シリーズを連載中の、プロレス格闘技マンガの金字塔的大ヒット作品『キン肉マン』。作者である漫画家ユニット「ゆでたまご」の嶋田隆司氏と中井義則氏は大阪市の出身で、キン肉マンのマンホール蓋は、2021年に大阪市で開催された『下水道展』(下水道分野における国内最大の展示会)に合わせて製作されたものです。
不敵な笑みを浮かべるキン肉マンの表情がかっこいい! 【©ゆでたまご】
キン肉マンのマンホール蓋があるのはOsaka Metroニュートラムの平林駅。ここは、小学生時代からの幼なじみであったという嶋田氏と中井氏が、18歳まで過ごした街なのだそうです。
マンホール蓋は、かつてお2人が居住していた「平林ビル団地」前の歩道に設置。平林ビル団地は既に取り壊され、現在は別の建物に変わってしまっているのですが、ここで両氏が青春時代を過ごしていたと思うと、感慨もひとしおです。
赤いポストが目印。両氏も当地に思い入れがあるそうで、マンホール蓋の設置を大変喜ばれているとのこと。【©ゆでたまご】
キン肉マンのマンホール蓋にお目にかかれるのは、お2人のゆかりの地である平林駅だけではありません。大阪の主要観光地にもキン肉マンと人気キャラクターのマンホールが合計5カ所設置されており、「特に私を含めたキン肉マン世代の人には、心に刺さると思います」と白浜さん。
まずは、平林駅と同じデザインのキン肉マンのマンホール蓋が大阪城ホール周辺に。
大阪城ホール前・噴水広場の近くにある、コンビニエンスストアの前(最寄り駅:長堀鶴見緑地線 大阪ビジネスパーク駅)。【©ゆでたまご】
うめきた地区にはウォーズマン、アメリカ村にはテリーマンが。
ウォーズマン(左)はリンクス梅田とグランフロント大阪がある交差点の、グランフロント大阪北館前(最寄り駅:御堂筋線 梅田駅)。テリーマン(右)は心斎橋ビッグステップ前(最寄り駅:御堂筋線・長堀鶴見緑地線 心斎橋駅/四つ橋線 四ツ橋駅)。【©ゆでたまご)】
さらに新世界にはロビンマスク、住吉大社境内にはキン肉マンソルジャーのマンホール蓋があり、それぞれのキャラクターの個性に合わせたデザインで、通行客の目を楽しませています。
ロビンマスク(左)はスパワールド世界の大温泉の北側の入口の階段下(最寄り駅:御堂筋線・堺筋線 動物園前駅)。キン肉マンソルジャー(右)は住吉大社の西大鳥居(一の鳥居)を入って反橋の手前で右折し、駐車場の手前まで歩く(最寄り駅:四つ橋線 玉出駅など)。 【©ゆでたまご】
★マニアさんのおすすめポイント★
私を含むキン肉マン世代の心に必ず刺さるラインナップ。ぜひコンプリートを目指してください!
[manhole_02]店舗情報

大阪のシンボルかつ下水道整備の原点

「太閤下水」のイメージも。水流と桜で大阪らしく

大阪市内を歩いているとよく見かける大阪城が描かれたマンホール蓋。これは、大阪市が1994年から設置している下水道のマンホール蓋で、近代的な下水道事業に着手してから100周年を記念して、市民から公募したデザインをもとに誕生したものです。
豊臣秀吉が築いた大阪のシンボルを、マンホール蓋のモチーフに。
大阪市の下水道は古くから整備されており、なんと豊臣秀吉による城の建築や城下町の整備に併せて造られた「太閤下水」という下水溝が、今なお現役で機能していることをご存知でしたか?
太閤下水は、まさに大阪市の下水道整備の原点。大阪城を描いたマンホール蓋からも、太閤下水のイメージを感じとることができます。
大阪市内で、だれもが一度は目にしたことがあるはず!
大阪市は、市内に33もの河川が流れていることから、「水の都」と呼ばれており、マンホール蓋にも、大阪市のさらなる発展を思わせる、力強い水流が描かれています。
また、マンホール蓋を華やかに彩るのは、桜の名所としても有名な大阪城公園の桜。まさに大阪のシンボルを描くにふさわしい、堂々たるデザインとなっています。
カラーリングを施したマンホール蓋は主に美装化した歩道などに設置。色のついていない、モノクロタイプもさまざまな場所で見ることができる。
ところで、白浜さんによると、「色使いの違う大阪城のマンホール蓋が1カ所だけある」のだとか。そのマンホール蓋は、本町のせんば心斎橋筋商店街の入り口に設置されているというので、早速、大阪市の下水道のマンホールを管理している大阪市建設局下水道部の方に、設置の理由などを聞いてみました。
「確かに、色使いが違うのはこのマンホール蓋だけで、下水道のイメージアップにつながれば、と大阪市内の下水道施設を維持管理しているクリアウォーターOSAKA株式会社が設置した」とのこと。空の青さと、水流の部分の落ち着いたベージュ色とのコントラストがひと味違った雰囲気を放っているので、ぜひ他の大阪城のマンホール蓋と見比べてみてください。
中央大通南側の、せんば心斎橋筋商店街の入り口にある(最寄り駅:御堂筋線・中央線 本町駅) 。
★マニアさんのおすすめポイント★
大阪の象徴にふさわしい、堂々たるデザイン。本町駅付近に1カ所だけ、色使いの違うマンホール蓋があります。
[manhole_03]店舗情報

1970年の大阪万博の象徴

吹田市内のいたるところに。下水道&基準点の2パターンあり

大阪のシンボルとして、もう一つ忘れてはならないのが「太陽の塔」。1970年に開催された『日本万国博覧会(大阪万博)』の象徴的存在で、芸術家の岡本太郎さんがデザインしたことでも、世界的に有名です。
大阪万博の跡地を整備して造られた『万博記念公園』(吹田市)内にあり、世界中から訪れる来園客を迎えている。
太陽の塔を擁する吹田市では、太陽の塔をモチーフにした下水道のマンホール蓋を、街中で見かけることができます。設置を開始したのは1990年頃で、当時の市長の「吹田市といえば“太陽の塔”」というひと声が、誕生のきっかけになったのだそうです。
太陽の塔を中央に配したマンホール蓋は、左右対称のすっきりとしたデザイン。まわりには市民の花のさつきと、市民の木のくすのきが、バランスよくあしらわれています。
カラーバージョンのマンホール蓋が設置されているところもある。
実は太陽の塔をモチーフにしたマンホール蓋は2014年3月に製造を終了しており、より耐久性を追求した新しいデザインのマンホール蓋に、年間およそ200枚のペースで取り替えられているのだそうです。
しかし、太陽の塔のマンホール蓋は街中にまだまだ点在しており、中でも白浜さんのイチオシは、江坂公園西側の一角にある交番前のマンホール。道幅の広い歩道になっており、「落ち着いて写真撮影できること」がポイントだそうです。
駅近で、探しやすいのもうれしい。
Osaka Metro江坂駅付近には、下水道のマンホール蓋をさらに小さくした「基準点」と書かれた蓋も。基準点とは、地球上の位置や海面からの高さが正確に測定された場所のことで、地図作成や各種測量の基準として利用されるものなのだとか。吹田市ではこの基準点も、太陽の塔のデザイン蓋で大切に守られており、吹田市内に20カ所ほど設置しているということです。
大阪府吹田市豊津町1丁目の、りそな銀行付近にある基準点の蓋。
★マニアさんのおすすめポイント★
1970年の大阪万博のシンボル。取り替えが進んでいるので、撮影をしたい方は今のうちに!
[manhole_04]店舗情報

世界中を旅する黄色いアヒル

日本のホームタウン・北加賀屋の街角をキュートに彩る

お風呂に浮かべる黄色いアヒル=ラバーダックは日本でもおなじみですが、このラバーダックを巨大化して海や河川をバスタブに見立て、世界中で展示をするというプロジェクトがあるのをご存知でしょうか。
巨大なアート作品「ラバー・ダック」を制作したのは、オランダ人アーティストのフロレンティン・ホフマン氏。国境や人種などは関係なく、子どもの頃の記憶や思い出を呼び起こし、すべての人に癒しを与える、幸福の象徴であることを願っているのだそうです。
このラバー・ダックのマンホール蓋がOsaka Metro北加賀屋駅周辺に点在。実はラバ―・ダックと北加賀屋には、深~い関わりがあるのです。
なんと大阪城のマンホール蓋の大阪城と、ラバー・ダックを入れ替えたデザイン。お風呂にぽちゃんと、気持ちよさそうに浸かっているみたいでかわいい。
はじまりは2009年の「水都大阪2009」。このイベントに関心を寄せていた、北加賀屋にある千島土地株式会社が、水辺のシンボルとなるようなアートプログラムがないことを知り、ホフマン氏からラバー・ダックの図面を購入。水都大阪の連携企画として、中之島の八軒家浜に展示したのだそうです。このラバー・ダックの展示は当時大きな話題を呼び、作品を所有する千島土地株式会社のある北加賀屋が、日本のラバー・ダックのホームタウンとして認識されるようになったのだとか。
現在も年に一度、北加賀屋で開催される「すみのえアート・ビート」(2023年は11月5日に開催)で、水辺に浮かぶ、高さ9.5mのラバー・ダックを目にすることができます。
「すみのえアート・ビート2021」での開催風景(提供:千島土地株式会社)。
ラバー・ダックのマンホール蓋が設置されているのは、北加賀屋駅周辺の計8カ所。駅から一番近いのは、4号出口を出てから、右へしばらく進んだところにある、バス停付近のマンホール蓋です。
北加賀屋交差点近くまで歩いてみよう。
アートによるまちづくりが進められている北加賀屋には、古い建物をリノベーションしたおしゃれなお店がさまざまにあり、マンホールといっしょにノスタルジックな一枚を撮影することもできます。
オーダーメイドの、小さなめがね店の前で(北加賀屋駅から徒歩約5分、大阪市住之江区北加賀屋2-8付近)。
文化住宅をリノベーションした「千鳥文化」(大阪市住之江区北加賀屋5-2-28)とマンホールの風景。千鳥文化には、グリルサンドイッチのお店や日本茶専門のカフェなどが入居する(北加賀屋駅から徒歩約5分)。
★マニアさんのおすすめポイント★
大阪城とラバー・ダックを入れ替えた、洒落のきいたデザイン。北加賀屋駅周辺に8カ所設置されています。
[manhole_05]店舗情報
【編集後記】
とにかくマンホールに関する白浜さんの知識量に圧倒された、今回の取材。詳細な資料に加え、マンホールの位置が正確にポイントされた地図も独自で作成されていて、この地図のおかげで、目当てのマンホールに迷うことなくたどり着くことができました。「オオサカマニア」の記事内では、ご紹介したマンホール蓋すべてに、行き方の簡潔な説明を書き添えているので、マンホールを巡るときのお役に立ててくださいね!マンホールの映え写真が撮れるうえ、宝探し気分も味わえる予想以上の面白さですよ~!
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