オオサカドーナツマニア オオサカドーナツマニア

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公開日2023.06.09

紹介してくれるマニアさん

ドーナツ探求家溝呂木一美さん

イラストレーター&デザイナーであり、国内外で年間500種類以上のドーナツを食べるドーナツ探求家。こよなく愛するドーナツについてSNSはもとより、テレビやラジオなど各種メディアでも積極的に情報発信する他、2022年にはHP『ドーナツ・ファンクラブ(donutfc.com)』を開設し、さらに活動を強化中。著書に『ドーナツのしあわせ』(イースト・プレス)や『ドーナツの旅』(グラフィック社)などがある。いろいろ制作ユニット「スタジオ・ソラリス」所属。

一周回って納得!ドーナツ愛にあふれる街

誰もが知る大手ドーナツチェーン店「ミスタードーナツ」は実は大阪が発祥です。1970年代に大阪の北摂エリアに第1号店がオープンして以来、店舗数を増やし、半世紀もの間、全国各地の人々を美味しいドーナツのトリコにしてきました。大阪といえば、お好み焼きやたこ焼きといった粉もの文化で知られる街。それゆえドーナツも大阪の人に愛されやすいのかもしれません。店によっては一つから買えるなど、すぐに食べられる気軽さも明るい街のムードに似合いそうです。専門店、ベーカリー、カフェとオリジナリティに富んだドーナツを食べさせてくれる店がたくさんあって探求家として心が踊ります。昔からある定番タイプから近年注目されている海外の味まで、選りすぐりを紹介します。

目次

懐かしい味わいの正統派ドーナツが食べたくなったらぜひココへ

ドーナツによく合うドリンクメニューも豊富

日本一長い商店街として知られる天神橋筋商店街。商店街とその周辺には食料品や生活用品の店以外に、美味しい食事やスイーツを楽しめる店もたくさん立ち並んでいます。ハニーミツバチ珈琲南森町店もその一軒。商店街のメイン通りの角を曲がってすぐの場所に、可愛い3階建てのレトロな店を構えています。
お店のメインメニューはドーナツとコーヒーです。ドーナツはプレーンやシナモンシュガー味といった定番4種類と、季節限定をはじめとするフェア商品が1~2種類、計5種類前後が並びます。
「当店のドーナツは国産小麦粉でつくるオリジナルのドーナツ粉と卵などがメインの材料で、毎日、スタッフが手作業でしっかり混ぜ合わせて、生地を作ります。それを180度の高温の油に入れて、色や膨らみを確かめながら、揚げていきます。手作りと出来立ての美味しさにこだわりました」と店長の宮本さん。
人気商品の「プレーンドーナッツ」(150円)は、外はサクッとして中はふんわりとした食感。卵の風味とクッキーのような香ばしさが特徴で、優しく懐かしい味のドーナツです。また、「シナモンドーナッツ」(220円)はプレーンドーナッツにシナモンとグラニュー糖がまぶされていて、甘くスパイシーな香りが広がる大人味。そして、季節限定の商品は例えば、夏ならレモンの果肉をアクセントにした爽やかなドーナツが、秋なら芳醇な香りのメープルシロップを使うドーナツなどが登場。シンプルな定番に対する個性豊かな限定商品で、飽きない工夫が凝らされています。
イートインもできる店で、ドリンクは店名からもうかがえるようにコーヒーやハチミツを使ったメニューが充実しています。注文が入ってからハンドドリップで丁寧に淹れる香り高い「ドリップレギュラーコーヒー」(330円)や、たっぷり入ったハチミツが甘さとコクをかもしだす「はちみつコーヒーレギュラーサイズ」(390円)など、ドーナツとの組み合わせを考えるのも楽しいラインナップです。
店は1階が販売コーナーとカウンター席、2階3階はテーブル席とソファ席で、トータル55席のゆったりキャパシティ。全体的にシックなインテリアで統一されていて、心地良く日が差し込むスペースもあり、のんびりとくつろいだ雰囲気です。プライベートはもちろん、仕事の合間に一息つきたいときにもピッタリです。
★マニアさんのおすすめポイント★
表面はサクサク、中はほわほわで、卵の風味が豊かです。懐かしくて優しい味のドーナツはいろんな人に好まれそう。ソフトクリームも美味しい店でイートインのときは一緒にオーダーします。
[donut_01]店舗情報

一つからでも買いやすい気軽に立ち寄れるテイクアウト専門店

ずっしりザクザク!丹念な手ごねドーナツ

梅田やミナミからも行きやすい阿波座駅付近。駅を降りて大通りから1本入った角地に店を構えるDONUT&BAKEDSWEETS hanauta。カラフルなテントが目印のテイクアウトドーナツ専門店です。
同店のこだわりは、一から手作りする手ごねドーナツ。
「一般的なドーナツは機械で材料を練り上げ、やわらかめの生地に仕上げて、油でさっくりと揚げる製法でつくられることが多いです。しかし、当店の場合は木製のこね鉢を使う手ごね製法で生地をつくります。それを一つひとつドーナツ型で抜いてから揚げます。一番の特徴は食べたときの食感だと思います」と店主の花戸さん。
揚げ油も一日に数回、入れ替えて風味を維持します。ドーナツは手で持った感触も比較的かためで、食べると音が聞こえるほどザクザクとした食感。食べごたえたっぷりです。
「プレーン」(150円)は、一番人気の素朴なドーナツで、卵を多めに使った生地に、少しクリームチーズを入れて、コクをプラス。甘さは控えめで幅広い層に好まれる味です。また、他所にあまりない「じゃがいも」(180円)も人気商品で、じゃがいもを練りこんだ生地をツイストさせて揚げたドーナツは、噛みしめると香ばしさが広がり、食感はややもっちり、そしてザクザク。こちらもプレーンと同様に甘さは控えめです。ドーナツは購入した当日はぜひそのままで、翌日はトースターなどで少し温めて食べてもおいしいです。
定番、月替わり、週替わりと、ドーナツは常時、8種類程度のラインナップ。月替わりの商品は季節感豊かで、春は紅茶、夏はレモン、秋はさつまいもなどのフレーバーが登場します。
店が位置する阿波座駅付近は、昔はビジネス街の雰囲気が強めだった場所。
「しかし、近年はファミリー層がけっこう増えた気がします。ドーナツ以外に焼き菓子も販売していて、お子様のおやつ用に購入されるお客様もよくお見えになります」と花戸さん。焼き菓子は動物モチーフのキュートなクッキーや、和素材を使った上品な味のクッキー、ラムレーズン味のバターサンドなどを用意。揚げ物を控えていてドーナツはあまり食べないけれど、少し甘い物をつまみたいという人におすすめです。
店内に入るのではなく、ショーケース越しに商品を購入するスタイルにしたのは「通りがかりにも気軽に購入してもらえるから」。オシャレなイラストやハンドメイド作品が飾られたお店は、ドイツにあるスイーツショップをイメージしたそうです!
★マニアさんのおすすめポイント★
ゴツゴツとした素朴な見た目が食欲をそそる手ごね製法のドーナツです。もちろん歯ごたえもザクザクでハマります。じゃがいもなど野菜入りのドーナツがあるのもユニークですね。
[donut_02]店舗情報

ドイツで愛されてきた伝統菓子を日本人好みの揚げドーナツに

甘いクリームとふわふわの生地に癒される

店名のfoodscape!(フードスケープ!)とは食べ物を意味するfoodと風景を意味するlandscapeを掛け合わせた造語。「食べることは生きること、生きることは暮らすこと」をテーマにオリジナリティに富んだパンやスープを販売しています。
店に並ぶパンは常時約50種類と豊富で、食事パン、総菜パン、甘めのパンと幅広い品揃え。また、スープはパンに使う材料を無駄なく、フードロスを解消できるように工夫したレシピで常時2種類を用意しています。美味しく食べて、社会問題にも取り組める、サステナブルな時代をキャッチした店づくりに注目したいところ。
さて、そんな同店でパンやスープを凌ぐ勢いで人気に火が付いたのが、穴のない丸いクリーム入りドーナツです。
「当店のドーナツはベルリン風ドーナッツという商品名で、ドイツの家庭で食べられているベルリーナというお菓子をアレンジしたレシピです。ベルリーナは元々、ドイツでも生地のかたさや中に入れる材料に地域ごとの特色があり、当店ではふんわりした生地とディプロマットクリームにこだわりました」と店長の里井さん。
北海道十勝産の風味豊かな小麦粉でつくる生地を、上下丁寧にひっくり返しながらサイドにキレイなホワイトラインが出るように揚げます。ふんわりもちもち、それでいて歯切れのいい食感が特徴。定番の「ベルリン風ドーナッツ」(303円)の中にしぼり入れるディプロマットクリームとは、自家製のカスタードクリームと生クリームを混ぜたもので、甘さ控えめでまろやかな口当たりです。たっぷり入っていますが、重すぎず軽すぎずちょうどいい塩梅。アッという間にペロリと食べてしまいます。
見た目も可愛くて、自宅用以外にプレゼント用に購入するお客様も多いというこのドーナツ。定番の他に、期間限定商品も登場します。いちごやリンゴといった旬の果物、また、ピスタチオのような流行りの食材など、「今まさに食べたい!」という気持ちにヒットするラインナップで、中のクリームも外のトッピングも定番とはまた違っていて、食べる楽しみが尽きません。
店内は販売スペースの一角にイートイン用のカウンター席が設けられています。一人でも過ごしやすい雰囲気で、近隣で働くビジネスパーソンの人たちがよく利用しているとか。焙煎所に特注したオリジナル豆を使う香り高いエスプレッソやカフェラテは、ドーナツの美味しさを引き立ててくれます!
★マニアさんのおすすめポイント★
ふわふわやわらかい生地にクリームがたっぷり詰まったベルリン風ドーナッツは、濃厚な卵の風味の中にスッキリした味わいがあり、生地とクリームが互いを引き立て合う美味しさです。
[donut_03]店舗情報

100年の時を超えて受け継がれてきたドーナツとコーヒー

いつでも美味しい昔ながらのシンプルな味

大阪の中心地、本町のビジネス街の一角に佇む平岡珈琲店は約100年の歴史を持つ喫茶店です。西洋文化に憧れを持っていた創業者が、1921年の創業時から看板メニューにしたのが自家焙煎のコーヒーと手作りドーナツ。3代目にあたる現在の店主、小川さんも初代が生み出した味を継承しています。
「名物の100年ドーナツのレシピは元々、創業者が銀座の老舗コーヒー店カフェーパウリスタで教わったものです。風味の良いきめ細やかな小麦粉と新鮮な卵、砂糖を合わせて練り上げて、一つひとつ手作業で成形します」と小川さん。
「100年ドーナツ」(220円)は、昔ながらの製法でつくるハードタイプの揚げドーナツで、上にのせるトッピングはなし。生地に砂糖が練り込まれていますが、甘さは控えめで、コクの深いコーヒーに良く合うシンプルで飽きのこない味です。また、ドーナツのメニューは長い間、100年ドーナツのみだったところ、2021年に創業100周年を記念して新たに「焼ドーナツ」(270円)と「シナモンドーナツ」(300円)を発売。こちらは揚げずにオーブンで焼いてつくるドーナツで、油を控える人が多い今の時代を少し意識してレシピを開発したそうです。ハードタイプの100年ドーナツに対して、焼ドーナツは軽くサックリした食感。口どけのよい味わいは、例えるなら、昔ながらのお菓子、たまごボーロに近いイメージです。そして、紅茶の名店ムジカに協力を仰いで開発したシナモンドーナッツは、しっとりした生地で、食べると口にシナモンと紅茶の風味が広がります。
また、同店のもう一つの看板メニューであるコーヒー。こちらも伝統の味を再現していて、ドリップでもなくサイフォンでもない、珍しいボイリング式で抽出します。
「コーヒーは鍋に沸かした湯に挽いた豆を投入して、手早く木綿の布で濾して、さらにしっかり絞って淹れます。ある意味、原始的ともいえるやり方で、ドリップに比べると2割ほど多く豆を使います。深い苦味とコクを楽しめて、それでいて後味が残らず、スッキリした味わいです」と小川さん。100年前は一般的な淹れ方だったようで、当時使っていた道具をまだ使い続けているそうです。グァテマラベースのブレンド「100年コーヒー」をはじめ、「香りブレンド」「苦味ブレンド」など各種コーヒーメニューを500円で楽しめます。
杉材をふんだんに使った落ち着いた雰囲気の店内は、近隣のビジネスパーソンであふれているかと思いきや、近年は海外からの観光客がたくさん訪れているとか。長い歴史を持つ人気店の評判は海の向こうまで届いている模様です。
★マニアさんのおすすめポイント★
シンプルタイプのドーナツといえばココ! 少しかためでほろっとした食感、甘さ加減も丁度良く、ドーナツを食べればコーヒーが飲みたくなり、コーヒーを飲めばドーナツを食べたくなる魅惑のループです。
[donut_04]店舗情報

下町の商店街で愛されてきたうどん屋さんのヘルシードーナツ

豆腐入りの軽い生地が食べやすいと評判

谷町線・平野駅から少し北東方面に歩くと辿り着く平野本町通商店街。それほど大きくない商店街なのに、周辺も含めていろんな商店が立ち並ぶのは、この場所がかつて路面電車の終点だったからかもしれません。賑わう往時の姿が偲ばれる古き良き街並みが今も残ります。その商店街の一角に店を構えるのが六々々屋。うどんやお惣菜が並ぶ店ですが、10年ほど前から販売を始めたドーナツが思わぬ人気商品になったとか。
「このあたりはお子様からお年寄りまで幅広い層の人たちが行き交う場所です。ですから、ドーナツもアレルギーなどに配慮して卵は不使用、代わりに豆腐を入れて、軽くヘルシーに仕上げました」とドーナツ担当の藤原さん。
ドーナツは毎朝、一から生地をこねて手作り。上質の油でさっくりと揚げます。種類が豊富でシンプルなプレーンや砂糖がけ、カットしたさつまいもやリンゴを練り込んだもの、甘い物好きにたまらないあんこ入り、ソーセージを使うアメリカンドッグ風など全9種類を用意。最初はプレーン1種類だったところ、お客さんから「こんなドーナツが食べたい!」と次々に声が上がり、現在のラインナップにつながったそうです。
各ドーナツはやや小ぶりですが、ふんわりもちもちした食感で食べ応えがあります。値段は一番人気の「プレーン」が120円、「アーモンド」「いもあん」「さつまいも」が150円と手頃。毎日、買いに来るお客さんもいらっしゃいます。人気が高く昼過ぎには売切れになることもあるので、なるべく早い時間に行くのがおすすめです。
同店はメインメニューのうどんも人気で、こちらもドーナツと同じく幅広い層の人が食べやすいように、程よいコシともちもちした食感を出すため、丁寧に手打ちされています。出汁は数種類のけずり節と昆布を使う優しい風味。うどんはきつねうどんや卵とじうどんなど約25種類の単品メニュー以外に定食も用意していて、季節の野菜が豪快にのった「野菜天カレーうどん定食」(950円)が、まろやかなカレー味で人気を集めています。
呉服店だった古民家を改装した店は、街の風景に溶け込むノスタルジックな空間です。アンティークの古時計やステンドグラスが飾られていて、テーブルや椅子は重厚で温かみのある木素材で統一。光が差し込む中庭を眺めながら食事ができます。ドリンクとドーナツを一緒に楽しめる「ドーナツセット」(500円~)をぜひ召し上がってください!
★マニアさんのおすすめポイント★
種類が豊富で、甘いドーナツ以外にソーセージ入りなどもあって、選ぶのが楽しい店です。うどんも美味しく、定食などを食べた後にデザートとしてドーナツを食べるのもおすすめです。
[donut_05]店舗情報
【編集後記】
コンビニやスーパーに行けば当たり前に買えるドーナツは馴染み深いおやつです。が、各店のご主人が話す材料や製法への思いを聞くたびに「やはり専門店や人気店は違う!」と感じました。手軽なおやつという立ち位置を守りつつ、店のカラーを打ち出すために、ドーナツそのものに工夫をする他、一緒に楽しむドリンクにも力を入れるなど、シンプルだからこそ、飽きないドーナツタイムを過ごせるように心が込められています。見て歩いて確かめてください。
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