今日は陽気にちどりあし オオサカせんべろマニア 今日は陽気にちどりあし オオサカせんべろマニア

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公開日2023.10.10

食の都の居酒屋はそのお得感にも感動!

大阪の街は昼だけでなく夜も賑わいを見せる場所が多く、特に大阪市内はグルメやお酒を楽しめる店に不自由しません。中でも居酒屋は、店の雰囲気、メニュー構成、値段設定など各店が打ち出す魅力がバラエティに富んでいて、店選びに迷うほどです。そこで今回は大阪らしい庶民的なノリで過ごせて、料理もお酒も美味しい選りすぐりの居酒屋さんを紹介します。メニューが全体的にリーズナブルだったり、人気のせんべろセットがあったりと、お財布に優しい店を集めたので「飲むのが好きでついハシゴしてしまう」という人にも喜んでもらえるはず。「毎回、居心地が良くていつのまにか常連になっていた」そんな幸せな出会いが待っているかもしれません。

目次

ミナミの中心エリアで気取らずに飲んで食べてが叶う老舗店

昭和時代から愛され続けてきた串かつ

ミナミのシンボルの一つ、戎橋筋商店街から法善寺横丁に向かって角を曲がるとすぐに見えてくるのが知る人ぞ知る名店、二色です。昔ながらの素朴な字で描かれた大きな看板、料理のサンプルが並ぶ小さなショーケース、懐かしい面影をそのまま残したような店構えに豊かな歴史を想像します。
「最初、1949年に父がこの場所で小料理店を開きました。しばらく順調に商売をしていましたが、そのうち不景気の時代が来て客足が減ったのです。そこでもっと大衆向けの手頃で食べやすいメニューを出そうと、串かつをメインに扱う店にしました」と二代目の店主、新井さん。
その流れを受け継ぎ、現在も串かつを看板メニューにして多数の料理を楽しめる居酒屋として営業しています。
人気の串かつは先代の作り方をそのまま受け継いでおり、薄めの衣をつけて揚げるあっさり上品な味わいが特徴。値段はロース、きす、いか、ウインナー、玉ねぎなどが132円、えび、たこ、チーズなどが154円。15種類ほどの具材があり、冬季限定で牡蠣も登場します。シンプルなウスターソースで食べる串かつは食べ飽きず、店を訪れるたびに注文したくなりそうです。
また、串かつと同時期にメニューに取り入れて同じく名物になったのがおでん(121円~)です。牛すじやカツオ節で作る出汁で煮込むやさしい味のおでんは、串かつとも相性抜群。大根、こんにゃく、すじ肉、ごぼう天などを楽しめます。
その他、お客さまからのリクエストに応えてメニューに取り入れたという大阪らしいどて焼き(385円)は、牛すじとこんにゃくをやわらかく煮込んだ一品。まろやかな味噌味で汁まで飲み干せます。
「串かつをスタートしたのは1969年で、その他にも居酒屋らしいメニューが必要だと思い、少しずつ一品料理を増やして今の内容になりました」とのこと。
現在のメニューは串かつ、おでん、お造り、サラダ、焼き物など定番が約60種類、他に日替わりメニューも登場します。お酒はビール、日本酒、ウイスキー、梅酒など一般的なお酒を一通り用意しています。
また、店内は1階がカウンター席とテーブル席で約30席、2階はトータル15名まで入れる座敷席です。どちらも創業当時から変わらない造りや内装で、特に2階は昔の民家を彷彿させる温かい空間。予約制で貸し切りにも対応してくれます。美味しい食事とお酒を楽しみながら、まったり酔いしれるひとときを堪能してください。
[senbero_01]店舗情報

地名とリンクしたユニークな店作りでタイムトリップ気分

見て驚き食べても驚き?のフードメニュー

活気のある街に大小の店がひしめきあう、大正の駅前にある立ち飲み屋です。このお店がオープンしたのは2020年。3年目を迎えた今は常連さんを中心に賑わう毎日です。
「夫婦で店を始めたいと思っていたとき、たまたま不動産屋の張り紙を見かけたのが今の場所です。なんばや福島といった激戦区ではなく、さらに駅前という好立地な上に理想的な広さで、ここだ!と思いましたね。そして、せっかくだから『大正』という駅名地名にちなんだ店にしようと、大正ロマン風のムードを漂わせる店にしたのです」と店主の田島さん。
大正区や大正駅前という場所に思い入れがあったわけではないけれど、偶然見つけた場所の地名を活かして、大正ロマン風の店を計画。レトロ調の目立つ外観、ステンドグラスや落ち着いた色調を取り入れた店内、雰囲気のあるお品書きやグラスなどの小物類、あちらこちらに古き良き時代の香りがちりばめられています。
そんな趣のある店内で楽しめるのは、オリジナリティに富んだ数々のメニュー。
「昔から飲食業界に勤めていたのですが、独立したい思いが常にあったので、経験を積むために飲食店経営で有名な会社に入社しました。そこで学んだのは、ただ美味しい料理をつくるだけではなく、盛り付けや名前にもヒネリを加えるという姿勢です。今もその姿勢を大事にしていて、5種類程度の日替わり含めて常時40種類ぐらいのフードメニューを用意していますが、添加物などに気を配りつつ当店でしか食べられないようなメニューづくりにこだわっています」と話されます。

工夫を凝らした人気メニューのひとつが「⬛い(しかくい)クリームコロッケ」(210円)です。
四角形の形をしたユニークなコロッケで、中のクリームソースの具材は牡蠣とほうれん草。少し濃いめの味でお酒によく合います。また、「紅ショウガのかき揚げ」(320円)は、縦横10センチほどの大きさがある豪快なかき揚げ。紅ショウガ以外に玉ねぎも入り、素材の組み合わせとサックリ食べ応えのある食感を楽しめます。
その他、温・冷・揚げ物とバランスよくおかずを組み合わせた「おばんざいの盛り合わせ」(650円)も人気のメニューです。
そして、美味しい創作メニューを引き立てるお酒はビール、チューハイ、ハイボール、日本酒などを用意。なかでも日本酒の仕入れに特に力を入れていて、入手が難しいレア物も含めて常時約20種類が揃います。また、店の雰囲気を目一杯体感したいときはオリジナルの「ゼリー酎ハイ」(570円)がおすすめです。カラフルないちごゼリーやメロンゼリーの上に透明色のチューハイが注がれて、まるでレトロ喫茶のメニューのようなキュートさ。ゼリーを崩しながらデザート感覚で味わってください!
[senbero_02]店舗情報

家庭的な雰囲気に包まれて一日の疲れを癒せる穴場のお店

何が登場するか楽しみな手料理と美酒

店名からもわかるように、肥後橋駅が最寄りの江戸堀エリアにあるお店です。店は8名が座れるL字型のカウンター席と2名用のテーブル席が一つ設けられた「小さな小料理屋さん」といった店構えです。
「当店は手料理とお酒を楽しんでいただける居酒屋で、料理メニューは常時約40種類を用意しています。常連さんが多いので頻繁に内容を変えて飽きない工夫をしているのはもちろん、大皿に盛りつけたおばんざいをカウンターに並べて、家庭的な雰囲気を味わっていただけるようにしています」と店主のゆきこさん。
全体的に値段が抑えられているのは、毎日、ゆきこさんが市場に向かい、その目で見て「安くて質のいい食材」を吟味して仕入れるから。そこからメニューを決めて、時間をかけて丁寧に仕込みをするのが開店までの流れです。手書きのお品書きにはお造りや揚げ物、焼き物、酢の物などのメニューが並び、値段は300~500円台が中心。
おすすめの「おばんざい3種盛り」は、カウンターに並ぶおばんざいから好きな物を3種類選べて値段は400円。
おばんざいは日替わりで、例えば、「ヤリイカの煮付け」「肉巻きオクラたれ煮」「マカロニ卵サラダ」「大根菜とじゃこの炒めもの」など、食材や味付けのバリエーションに富んだ8種類ほどが並びます。おばんざい以外では、マグロやカツオなど4種類ほどを楽しめる「お造り」(450円~)も人気です。また、スタッフの方の実家でもある農家から取り寄せる米を炊いてふんわり握る「おにぎり」(100円)などもあります。

美味しい手料理を引き立てるお酒のラインナップは日本酒が中心。地酒に強い専門店を通して7~8種類を仕入れていて、カウンター席からも見える日本酒専用の冷蔵庫で保管しています。
日本酒以外では、すだちやざくろ、トマト、ポン酢など飲みやすい各種サワーなどもおすすめです。
細やかな心遣いに溢れているこの店の魅力は他にも尽きることがなく、その一つが店内で使用している数々の器です。色合いや絵柄など一つひとつが表情豊かな作家物の器で、料理は引き立ち、お酒は旨味が増すような気がします。食べ物、飲み物、小物、空間、すべてがバランスよく調和しているこのお店、気になる客層は付近で働くビジネスパーソンが中心。年齢層はやや高めだそうです。マナーを保ちつつ気楽にくつろぐ大人の流儀が守られているのも、居心地のいい場所である理由かもしれません。
[senbero_03]店舗情報

種類豊富な牡蠣料理が名物の気取らず飲めるビジネス街の居酒屋

食べ方のチョイスも楽しいせんべろセット

近隣で働くビジネスパーソンたちが、仕事帰りに一杯飲みながらくつろげる店が多い本町駅付近。オシャレだったり、カジュアルに使えたり、各店が個性を打ち出しています。こちらのお店は赤ちょうちん風で“ジョッキが似合う”ざっくばらんに飲める場所でありながら、本格派のフードメニューの数々が並ぶことで人気です。
「当店は豊富なメニューを展開している居酒屋で、特に看板メニューとして用意しているのが年中食べられる牡蠣料理とオリジナルの鍋料理です。牡蠣は兵庫県の坂越から直接仕入れていて、気軽に注文してもらえる安めの値段でお出ししています。また、鍋は酒粕を加えた特別の出汁で具材を煮込んで召し上がっていただきます」と店長の谷本さん。
牡蠣料理は焼き牡蠣、タタキ、酢牡蠣、フライ、生牡蠣など20種類以上のメニューを用意。中でも来店者の9割が注文するというのが、牡蠣3個とドリンク2杯をセットにした「千べろ牡蠣セット」(1,000円)です。3個の牡蠣は、5種類から好きな調理法を選べて、しかも、1個ずつバラバラの調理法にしてもOK。こっくりしたバター醤油の風味が広がる焼き牡蠣、塩とスダチでさっぱりいただけるタタキ、もみじおろしがアクセントの生牡蠣など、どの食べ方も気になります。
その他、1個からの単品注文や、蒸し器を使いセルフスタイルで食べられる蒸し牡蠣、多彩なメニューが登場する牡蠣づくしの特別コースなどもあります。 
また、もう一つの名物、オリジナルの鍋料理「酒粕玄人鍋」(1,780円)はなんといってもその出汁が格別で、カツオ節、鶏ガラ、酒粕をベースにしたまろやかで奥深い味わい。
酒粕が持つ独特の風味は抑えられていることで、食べやすいのも特徴。肉類、魚介類、野菜、豆腐、キノコなどバラエティに富んだ具材を入れて楽しんだ後、最後の締めはぜひ生パスタを注文してください。旨味たっぷりの出汁にフォンデュ用のとろけるチーズが加わり、まるでカルボナーラのようなリッチな美味しさです。 
同店は大阪の天満や奈良県にも系列店がありますが、ここ本町店は他店以上に居酒屋らしい一品料理を充実させています。フードメニューは総数150種類を超え、お酒も幅広く用意。店内は比較的広めで、座敷席とテーブルを合わせて80名のキャパシティです。大人数でも入りやすく貸し切りにも対応可能という、使い勝手の良さも見逃せません。
[senbero_04]店舗情報

リーズナブルでいつでも通いやすい駅チカの老舗大衆酒場

制覇できないほど圧巻のフードメニュー

梅田やなんばからも行きやすい北加賀屋駅のほぼ真上、駅を上がってすぐの大通りに面した大衆酒場です。創業は1977年で、現在は店主とそのご家族で店を切り盛り。昔の姿をそのまま残した店内で、昼間からのんびりお酒を楽しむお客さんたちも多い店です。店に入ってまず目を引くのが、3枚の黒板にぎっしりと書かれたメニューの数々。あまりに品数が多くて圧倒されそうになります。
「いつも用意している定番のメニューは、フードが約250種類、ドリンクは25種類ほどです。長く営業する中で、お客様からの『こんな料理が食べたい』という声に応えているうちに、これだけ増えました」とスタッフの西尾さん。
お造り、揚げ物、焼き物、酢の物、煮物などお酒が進む一品以外に、お寿司、ご飯もの、麺類などしっかりお腹を満たせそうなメニューも充実しています。
「一人で来店されるお客様も多いので、一品250円で気軽に注文できるフードメニューをたくさん用意しています。その他も300円台などが多く、いろんな種類を召し上がっていただけると思います」とのこと。
時流に乗って値上げをするお店も多い中、なるべく昔と変わらない価格帯を維持するのも方針で、毎日でも通えそうです。
人気の「どて焼き」は、材料は牛すじ肉とこんにゃくで一般的ですが、味噌を白味噌にしてほんのり甘くマイルドに仕上げたのがこの店流。胡麻の香りが食欲をそそります。また、創業時から出している「ポテサラ」はあっさりシンプルな味付けで、いろんなお酒に合います。値段はどちらも250円。マグロ、サーモン、ヒラメ、イワシ、アジなどの旬の魚が3種類盛り合わせてある「お造り盛り合わせ」もおすすめで、大中小の各サイズがそれぞれ、1,000円、700円、500円。
通年出している「湯豆腐」(250円)は、自家製の出汁ごと豆腐を食べる体が温まるメニューです。
飲み物はビールやハイボール、梅酒、ワインなどの他、ひれ酒なども楽しめます。店名が入ったオジリナルラベルの2種類の焼酎があり、ボトルキープもOKです。
店内は温かい風合いがある木の長いカウンター席が中心で、他にテーブル席が2つ。全席禁煙です。レトロな店構えから、年配の男性客が多いように感じますが、若者のグループや女性一人での来店もよくある光景とか。
[senbero_05]店舗情報
【編集後記】
日本の食文化に欠かせない居酒屋。数えきれないほどたくさんのお店がありますが、「安くて美味しい」が叶うのが大阪の魅力です。今回、取材した各店は仕入れなどに工夫を凝らして、良心的な価格を維持するだけでなく、お客様が変わらず笑顔で通い続けられるように試行錯誤されていました。これはやはり、「お客様に喜んでほしい」という大阪らしいサービス精神から生まれるもの。「敷居は低く、志は高い!」そんな食い倒れの街の居酒屋を楽しんでみてください。
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