「めん・だし・具」の三拍子 オオサカうどんマニア 「めん・だし・具」の三拍子 オオサカうどんマニア

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公開日2022.09.07

紹介してくれるマニアさん

うっし~さん

兵庫県出身、広島在住経験を経て現在大阪市に在住。元々、うどん好きであったが、広島時代に本格讃岐うどんの魅力にハマり、香川県にうどん巡りの旅に出かけるようになった。大阪に転居してからはさらに頻度が上がり、年に20回以上渡讃。多い時は日に10軒の店をハシゴする。関西の讃岐うどんをテーマにしたスタンプラリー「関西讃岐うどん巡礼」の実行委員を務めた経験もあり。

気軽でいて奥が深いなにわの実力派うどん

うどんといえば、食べたことがない人がいないかも、と思うほどポピュラーな国民食の一つ。小麦粉と水と塩を混ぜて練って、紐状に切り分けると至ってシンプルな製法なのに、食感や風味の違いは無限の域。さらに麺によく合う出汁やトッピングのバリエーションが加わり、毎日食べても飽きない主食としての地位まで確立されています。そんなうどんを関西の大都市、大阪で味わうとなれば、どうなるか。当然 、王道の関西風に限らず 、讃岐うどんや稲庭うどん、伊勢うどんなど他県の名物、また、独自性や創作性に富んだ数々のうどんにも出会えます。心が揺さぶられる一皿に出会うたび、「これだからうどん屋めぐりはやめられない!」と思います。

目次

豊かな余韻が残る食べごたえのある麺。人気のとり天は必食!

ランチタイムはご飯がつくお得なセットもおすすめ

活気のあるビジネス街でありラーメン店が目立つ西中島南方付近。実はうどんの名店に出会える街でもあります。2014年春にオープンしてそろそろ10年目を迎える「ゆうすけ」。ご主人は海老江にあった今はなきうどんの名店「やとう」で腕を磨いた他、ラーメン店などにも勤めて経験を積んだ人物です。
店内はL字型のカウンターで約10席という構成。奥にはガラス張りの製麺コーナーがあり、中の様子がよく見えます。注文が入ったら、大小の麺棒で生地を伸ばして、きちんと折りたたんで、端から専用カッターでトントンとリズミカルに切り分けていきます。丁寧な一連の作業を見ているだけで、いったいどんなうどんが運ばれてくるのかと期待が高まることこの上なし。
うどんは太めの平麺でしっかりした歯ごたえが特徴。おすすめは不動の人気を誇る「とり天ぶっかけ」(950円)です。麺の上にゴルフボール大のとり天が5個のった豪勢な内容でボリュームたっぷり。とり天は食材の美味しさを引き立てる薄めの下味がついていて、衣は軽くサクサクした食感。宗田鰹や利尻昆布をベースにしたあっさり上品な出汁との相性が抜群です。他のトッピングは大根おろしに葱、鰹節、海苔など。添えられたレモンを絞れば、サッパリ感が増します。
ランチタイムは、100円プラスで白ご飯を、150円プラスで卵かけご飯をセットにすることができます。うどんもぶっかけ以外にざるやかけのチョイスが可能。同じとり天でも組み合わせるうどんでまた違う味わいになって食べ飽きません。
その他では、「とり天カレーうどん」も根強いファンを持つメニュー。カレーはいわゆる和風の出汁ベースではなく、クミンなど数種類のスパイスを使うエスニック系。食べた瞬間、口中に広がるスパイスの香りがたまりません。値段はとり天が3個のって1000円、5個なら1100円ですが、3個でもかなりのボリュームなのでお腹の空き具合を考えてオーダーを。実はこのメニュー、もともとあったカレーとじうどんが和風ベースの味で、「もっとスパイシーなカレーうどんも食べたい!」という常連さんからの熱い要望にこたえて開発したそう。そんな親切な姿勢がまた高い評判につながっているのかもしれません。ランチタイムは行列ができることで有名ですが、夜は比較的入りやすいので狙い目かも。

★マニアさんのおすすめポイント★
ボリュームたっぷりでコスパ抜群のランチメニューが大人気の店です。一番人気の「とり天ぶっかけうどん」は必食。注文が入ってから揚げるアツアツのとり天のジューシーな美味しさに感激すること間違いなし。
[udon_01]店舗情報

オシャレな店内でご当地感いっぱいのリアルな讃岐うどんを

一人でも気軽に入りやすい立ち食いスタイルの店

2017年オープンとまだ比較的、新しい「Udon Kyutaro」。飲食店激戦区でもある本町界隈で朝7時から営業、と多忙なビジネスパーソンが出勤前にも朝うどんを楽しめるうれしい店です。ご主人は大阪出身ながら、讃岐うどんの魅力にハマって、うどん巡りの旅を重ねていた人物。情熱が高まりついには現地の有名店に弟子入りを。2軒の有名店で足かけ6年かけて、本場のうどんづくりをマスターしたそうです。
店の入り口に小さく描かれた「Native Sanuki Udon」の文字に心躍りながら店に入ると、そこは木とコンクリートを配したスタイリッシュな空間。
庶民の味・讃岐うどんとのミスマッチ感に驚きますが、よく見ると、トッピング用の天ぷらコーナーやセルフサービスのゴマやショウガなど、本場と重なる風景が溶け込むように再現されています。
うどんは修業した店で使用していたものと同じ香川の製粉会社が作る粉を讃岐うどん用に製麺。期待を上回るたくましいコシともちもち感に圧倒されます。メニューの幅が広く、「しょうゆ」(450円)や「ぶっかけ」(450円)といった定番以外に、たとえばイリコで作るオイルを味わえるような独創性あふれるメニューも用意。壁にズラリと並んだメニューは「見た目でも選んでもらいやすいように」と大きな写真入りになっています。
中でもぜひ食べてほしいのが「ABURI」(850円)です。
来店するお客様の二人に一人が注文するという大人気のメニューで、宮崎県産のブランドポークを使った肉系のうどんです。豚のもも肉とばら肉2種類の部位を煮込み、ばら肉はさらに香ばしくあぶって、器に盛りつけ。
部位と食感、両面から肉の違いを楽しめる仕掛けで、出汁又は醤油をかけていただきます。「初めて食べる方ははまず醤油でどうぞ」とご主人の一言。少し甘みを感じる香川県産の醤油で、肉とうどんの味がとても引き立ちます。
他にはスパイシーなキーマカレーと出汁味の両方を味わえる「カレーうどん」(850円)も人気です。最初はシンプルに出汁でうどんを味わって、次に好きなタイミングでカレーを出汁に溶け込ませて、と味を変化させて楽しめます。うどんはどれも、オシャレな店内と同様に見た目にも工夫をしたのがこだわりだそう。もちろん写真映えも言うことなしです!
★マニアさんのおすすめポイント★
讃岐うどん好き待望の店です。「ABURI」などの人気創作メニューも美味しいし、本場の雰囲気を味わえる「かけうどん」もおすすめです。トッピングの天ぷらは全品100円と手頃。麺を小盛りにして天ぷらを数種類のせる女性客もよく見かけます。
[udon_02]店舗情報

尽きることがない「出汁」への情熱がスゴイ!釜揚げうどん専門店

食べ終わった後、出汁を飲み干すのも楽しみ

谷町線の終点に近く、駅前ながらゆったりした空気が流れる長原駅周辺。ややローカルなロケーションながら、遠方からでも足を運びたい評判の店があります。「桂ちゃん」は釜揚げうどんの専門店で、メニューは釜揚げうどんと夏季限定のざるうどんの2種類のみ。
それなのに熱狂的なファンが絶えないこの店の秘密はなんといってもご主人のずば抜けた出汁へのこだわりがあるから。経歴をお聞きすると、半世紀近く続いた釜揚げうどんの名門、八尾の「一忠」で修業し、その後、同じく名店である心斎橋の「しんぼり」で店長を勤めた後、独立したとか。確かな材料の見極めとそれを調理する高い技術、二つが合わさり、他所にはない味が完成しました。
出汁のメイン材料は、九州産の天然鰹と国産の昆布。天然鰹は本枯れの厚削りを使用します。昆布は専門店に通いつめ勉強を重ねて選んだ上質の品。それぞれ別の鍋に入れて、最適な火加減、時間で出汁を取り、後から二つを混ぜる手間暇かけた合わせ出汁がベースです。鰹の深いコクと昆布のスッキリした甘みが重なり、上品でバランスの良い味に仕上がります。砂糖不使用でヘルシーな点も見逃せません。
釜揚げうどんのメニューはすべて「たぬき」で、「豆だぬき」(800円)「たぬき」(900円)「おたぬき」(1000円)と3種類を用意。違いは麺の量で、約300g、約400g、約600gと、お腹の空き具合に合わせて選べます。注文すると、うつわに入った茹でたてのうどんと出汁が運ばれてきます。
葱や天かすなどがセルフ式でテーブルに置かれていて、気兼ねなく入れられます。うどんは釜揚げうどんによく合う、外はやわらかく中心にコシがある食感。店内の説明書きに「出汁は甘すぎず辛すぎず薄くなく濃くなく、最後に飲み干せる出汁です」とあり、どういうことか思えば、「最初はうどんをシンプルに何も入れないストレートの出汁に浸して、そして次に薬味でアクセントを添えて、最後は出汁を飲み干す楽しみを味わってください」とご主人。湯に入ったうどんを繰り返し浸しても、ほとんど薄まった感じがしないのはまさに秘伝の製法ゆえ。飲まずに残すのはもったいないですね。
店内はカウンター2列とテーブル席が3席。余計な飾り気はないけれど、昔ながらのうどん屋さんという店構えで、いつ誰とでも入りやすい雰囲気です。
「茹で」「冷凍」「生」と、うどんのテイクアウトも用意しているので、家で楽しみたい人はそちらを購入するのもおすすめです。

★マニアさんのおすすめポイント★
さっと気軽に食べられる釜揚げうどんの専門店です。「たぬき」をはじめとする釜揚げうどんと、「鴨汁」を注文してみてください。飲み干せるまろやかなつけ出汁と、鴨の旨味を堪能できる鴨汁の味比べを楽しめます。
[udon_03]店舗情報

一期一会の出会いに目が輝くアイデアあふれるうどんがお待ちかね

個性派うどんが目白押し!麺をリメイクしたパンにも驚き

大阪中心部のビジネス街で行き交う人も多ければ、飲食店の数も多い堺筋本町から谷町四丁目にかけてのエリア。「うどんdining KONA×MIZU×SHIO」のご主人がこの界隈に出店を決めたとき目指したのが、「美味しいのは当たり前、さらに他所にないインパクトの強いメニューを出すこと」だったとか。「きつねうどん」のようなオーソドックスなメニューもありますが、創意工夫に富んだ一皿を一度は食べてみたいところです。
うどんの大きな特色は普通の鍋ではなく、圧力釜で茹でる点です。昔は同じやり方をする店が多かったけれど高い技術を必要とするので、今は少ないそうです。出来上がったうどんは外がやわからく、中心部分はほどよい弾力。若干、太めで食べ応えがあります。食感の良さを高めるため、水の量つまり加水率にもこだわり、生地の扱いが多少難しくなることを承知で多めに配合しています。出汁は鯖、うるめ、めじかなど4種類の削り節を使用し、吟味したしょうゆ、みりん、塩をバランス良く合わせて、深みのある味にします。
注文は食券を購入する方式です。「ぶっかけうどん」(650円)や「カレーうどん」(900円)などに加え、その日のおすすめを含むオリジナリティ豊かなメニューが並びます。
例を挙げると和牛と数種類の野菜、そしてうどんをパフェグラスなどに美しく盛り付けた「黒毛和牛と胡麻香る彩り野菜のぶっかけうどん」(1,400円)や、鶏ガラで作る白湯スープと海老の出汁のハーモニーを楽しめる「『オマール海老出汁』海老のエスニックカレーつけうどん」(1,280円)など。見た目も華やかで「予算的にイタリアンランチを毎日食べるのは難しい人でも、うどんなら食べやすい。それでいて気分が上がると思います!」とご主人。
まるでカフェのようにオシャレな店内の造りも含めて、日常にトキメキを、とサービス精神盛りだくさん。
さて、「うどんdining KONA×MIZU×SHIO」には、うどん以外の名物もあり、その名も「うパン」です。
うどんの粉ではなく、麺自体を独自の製法でパンに仕上げた美味しくユニークな商品。もっちりした食感が特徴で、食パン、総菜パン、菓子パンと幅広い商品を展開しています。
わざわざ商標登録までしたのは商品への自信はもちろん、「作り方を知りたい方がいたら、正しい製法を伝えたいから」だそう。大阪から日本各地また世界にも羽ばたくパンを、と思いが伝わります。単品で買える他、前述の「『オマール海老出汁』海老のエスニックカレーつけうどん」(1,280円)など+100円でうパンをセットにできるメニューもあります。他所にはないうどんを食べた後は、秘蔵のレシピで作るパンを堪能と、楽しみが尽きない店です!


★マニアさんのおすすめポイント★
ここのうどんは見た目も素敵でテーブルに運ばれた途端、目が釘付けに。アイデアあふれるうどんが美味しいのはもちろん、サイドメニューの「うパン」も評判なので、ぜひ一緒に食べてみてください。
[udon_04]店舗情報

情緒あふれるベイエリアで人気を集めているうどん店

出汁のプロならではの味わい深い天然出汁

昭和8年に建てられた近代建築、商船三井築港ビルをリノベーション。タイル張りの壁や木製の窓枠などレトロ情緒あふれる空間でうどんを楽しめます。海遊館などでおなじみの大阪港エリアで注目を集めている「築港麺工房」です。
うどんは店内の製麺機で毎朝、製麺。試作を重ねて厳選した北海道産の小麦を使用しています。やや太めでもちもちした食感が特徴。幅広い年代の人に支持される食べやすい麺に仕上がっています。
また、麺以上に評判が高いのがうどんによく合う出汁で、その理由は運営母体の会社が、江戸時代に起源を持つ黒門市場の鰹節店「山長商店」を営んでいるから。自社経営以外の飲食店のコンサルティングなどにも携わり、美味しい出汁の研究を重ねてきた、いわば出汁のスペシャリスト。化学調味料を用いた人工的な味ではなく、本物の天然出汁を味わってほしいという思いにあふれています。材料のメインは燻製香と強い旨味を持つうるめいわしの削り節で、他に北海道産の真昆布なども使用。「街が最も華やいだ大正~昭和初頭の大大阪時代に大阪人がこよなく愛した味を再現しました」と店長。その味は濃厚で風味豊かです。
おすすめの人気メニューは、ちくわと舞茸の天ぷらが添えられたうどんと、九条ねぎと赤玉子そして山長商店のかつお節をたっぷりのせた玉子かけご飯をセットにした「築港定食」(900円)です。うどんは温かいうどんか冷たいうどんか、好きなほうを選べます。美味しくかつボリューム感もあり、お得なメニューです。
うどんは、きつねうどんのような一般的な和風味だけでなく、オリジナリティを打ち出した洋風うどんも味わえます。「完熟トマトのチーズカレーうどん」(920円)は、食べごたえのあるとり天がのったさわやかなトマト風味のうどん。チーズのコクが味に深みを添えています。また、豆乳と生クリームでまろやかに仕上げた「温玉豆乳カルボナーラうどん」(920円)も食べごたえのある一皿。
うどんの店といえば、よく冷たい水が出てきますが、飲み物にもひと工夫したのが店のこだわり。「生活習慣病などの予防効果が期待できる、体にやさしい有機栽培のルイボスティーをご自由にお飲みいただけます」と店長。すっきりした風味で和洋どちらのうどんとも相性が良い感じです。
店内はカウンター席とテーブル席の構成で、空間を広く取っていて、ゆったりしています。一人でもグループでも入りやすい雰囲気です。港町散策やデートコースのプランに組み込んでみてはいかかでしょう。
★マニアさんのおすすめポイント★
なんといっても出汁が美味しい!そして、メニューが豊富です。おすすめはご飯などがセットになったお得な定食類。「築港定食」や「釜揚げしらすごはん定食」「イクラ温玉天定食」などがお待ちかねです。
[udon_05]店舗情報
【編集後記】
吟味した材料、確かな製法、ニーズをとらえたメニュー展開と各店のこだわりに触れるたび、うどんという食べ物の奥深さとそれを追求し続けてきたご主人の情熱に敬服するばかりです。シンプルかつ値段も手頃な国民食だからこそ、誰もがその真髄にたどり着く醍醐味を味わえます。今回、紹介した店以外にも、記事を読まれている方が普段歩いている道沿いに、また最寄り駅のすぐそばに、思わぬ名店があるかもしれません。うどんは街歩きを楽しくしてくれます。
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