つぶあん派?こしあん派? オオサカあんこマニア つぶあん派?こしあん派? オオサカあんこマニア

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公開日2022.01.07

紹介してくれるマニアさん

日本あんこ協会会長にしいあんこさん

「あんこを通じて世界平和を実現する」をミッションに、世界約7,100名の協会員(※2021年10月時点)とともに、あんこの普及進行活動に尽力する。
小学生の頃からあんこの食べ歩きを開始。「一日一餡」をモットーに、食したあんこの数は10,000種類を優に超える。

つぶこし論争に終止符を打つ

よく「つぶあん派?こしあん派?」と聞かれますが、まずあんこに派閥はないことを申し上げたいと思います。あんこは使いどころによって、それぞれ輝ける場所があります。例えば、皆さんはこしあんのたい焼きを見たことはありますか?おそらくほとんどの人がNOとおっしゃるでしょう。実際には存在するのですが、やはり、たい焼き生地との相性は、こしあんよりもつぶあんがいいと言えます。逆に、羊羹の多くはこしあんから出来ています。これも羊羹を固める寒天のつるっとした食感とあうのは、こしあんなのです。もちろん、食べる人の好みや作り手の思惑にもよりますので、一概に断定することはできませんが、少なくともこのような傾向があります。つまり、あんこは適したTPOで、最高のパフォーマンスを発揮します。

さらに、あんこをつぶとこしだけに二分することも不可能です。皆さんは、つぶあんと小倉あんの違いはご存じでしょうか?さらに、つぶしあんと言うのもございます。端的に申しますと、つぶあんは小豆を潰さずに炊いたあんこのことで、あえて潰して炊けばつぶしあん。裏ごししてさらりとさせたのがこしあん。小倉あんは、まず大納言という大粒小豆を蜜煮し、それをこしあんに入れて煉ったのもので、原材料すら異なるのです。

  • ※当サイトにて記載の営業時間については、通常業務の時間となります。詳細は各店舗・スポットにてご確認ください。
目次

多様性に富む大阪のあんここそ世界平和の鏡

さて、あんこの世界は二元論で語れないことがお分かりいただけたかと思います。それぞれに輝ける場所があり、多様性に富んでいるのです。まるで、私たち人類かねての夢、世界平和そのものだと思いませんか? もちろん、大阪のあんこも二元論で語れるほど単純ではありません。食べ手を楽しませてくれる遊び心のあるあんこスイーツが多いこと。そして、風味や食感、ボリュームなど、時に豪快で時に繊細、メリハリのあるラインナップで飽きさせないこと。その振り幅の大きさから、大阪はあんこファンにとってパラダイスといっても過言ではありません。「さすが大阪、天下の台所」といつも舌を巻きます。日本を代表する食の宝庫であるからこそ、食に対する厳しい目と舌をもつ大阪。しかし、あんこという食に対する優しい愛も、そこに同時に感じるのです。

昭和5年の創業時から変わらぬ味が愛されている「きんつば」

砂糖控えめ、4時間かけて仕込む手作りあんこ

地下鉄西梅田駅を出て桜橋交差点を西へ。阪神高速の下をくぐると、「出入橋きんつば屋」と大きく書かれた建物が見えてきます。この場所で創業したのが昭和5年。戦前、戦後、そして令和の現在に至るまでずっと同じ場所で、同じ味を守り続けてきた老舗のきんつば屋さんです。
現在の店長さんは三代目。初代が考案されたという「きんつば」のレシピ、作り方は当時のまま。防腐剤などは一切加えていないので、日持ちはしませんが、10個、20個とまとめて買っていくお客様がほとんどです。
こちらのきんつばをいただいてみると、小豆そのものの味がしっかりと感じられて、強い甘みは感じません。少し小ぶりなサイズで、いくつでも食べられそう。なんと1個100円というのもうれしい。価格もずっと長い間変えていないそうです。「100円だったら計算もしやすいでしょう」と店長さんはおっしゃいますが、この大都会・梅田という立地にあって、この変わらなさは驚異的だと言ってもいいと思います。
初代から引き継いだ「きんつば」のレシピの特徴は、一般的なきんつばに比べてあんこに入れる砂糖を1割ほど減らしていること。北海道産の小豆と上白糖を使い、機械ではなく大釜で混ぜながら炊き、4時間もかけてじっくりと仕込みます。「きんつば」の皮は小麦粉を水でといたシンプルなもの。よけいなものを何も加えないことが、長年愛される味につながっているのですね。
お店には18席のイートインスペースもあり、「きんつば」を3個350円でいだたくこともできます。また、「あべ川餅」、「いそべ巻」、「ぜんざい」もあり、いずれもイートインと持ち帰り、どちらにも対応してもらえます。「あべ川餅」(3個)、「いそべ巻」(3個)、「ぜんざい」はイートインで600円。
さらに、夏季には「わらび餅」、各種「かき氷」、「ところてん」、「あんみつ」も登場。なかでも、ぜひ試してみたいのが昔懐しい大阪のおやつ「しがらぎ 」(600円)。「しがらぎ」は、棒状にまとめた冷たいおはぎを輪切りにしたものに、つぶあんときなこをかけていただく夏限定のデザートです。あんこ好きにとっては見逃せないおいしさですよ。
「出入橋きんつば屋」は、堂島・梅田のオフィス街に近いということもあって、ビジネスマンが挨拶回りや集金日の手土産として買いに来られることがとても多いのだそう。そのため20日、25日といった五・十日(ごとび)は特に売り切れるのが早く、4時半ごろに終了する日もあるので注意してくださいね。

★マニアさんのおすすめポイント★
いつ食べても変わらない安定のおいしさ。飽きのこない優しい甘さ。このお店の「きんつば」の存在そのものにほっとさせられます。レトロな箱も素敵で、お土産にもぴったりですよ(箱代100円、10個から)。
[anko_01]店舗情報

欧風料理のバールで見つけた絶品あんこスイーツ

シェフのオリジナル「マットーネ」が大好評!

地下鉄谷町線「阿倍野駅」のすぐ近くなのに、意外なほど静かな住宅街のなかにあって、隠れ家的な雰囲気が漂う「地中海バール シンパティコ」。イタリア、フランス、スペインなど地中海沿岸の伝統的な料理の要素を取り入れたタパス料理や、一品料理を、肩肘張らないラフな感じで楽しめるお店です。
欧風料理のお店なのに、あんこスイーツが評判?ときくと、びっくりされる方もいらっしゃるかもしれませんね。そうなんです、「マットーネ」は、世界中探してもこのお店でしか味わえない、オーナーシェフのオリジナルスイーツ。もともとはバールでお食事をされた方にのみ提供していた食後のデザートだったそうですが、好評につき、現在はテイクアウトもできるようになりました。
「マットーネ」は、無塩発酵バターとクリームチーズ、たまご、あんこで作った生地にバニラビーンズで香りをつけて、しっとりと蒸し焼きにしたデザート。型に入れて焼き上げた見た目がレンガに似ているため、イタリア語で「レンガ」という意味の「マットーネ」と名付けました。
もともとこのデザートが生まれたのは、シェフがメニューを考案しているときに、栗のピューレを使ったフランスの焼き菓子を見つけたことから。「このデザートを日本の食材で作ってみよう。栗のかわりにあんこを使ってみてはどうだろう?」というアイデアから試行錯誤が始まり、全国からいろいろなあんこを取り寄せて試作。ようやく出会ったのが、現在の「マットーネ」に使用されている三重県の老舗から取り寄せたあんこでした。無添加で厳選した素材が使われていることと、甘みやねばりなどが理想的だったそうです。
気になる「マットーネ」のお味は、しっとりした生地のなかに小豆のうまみがしっかりと感じられて、ほかの素材と調和しつつも存在感を放っています。「あんこを入れると必要以上に香りづけなどをしなくてもおいしく、バランスの良い味になりました。和の食文化はすごいなと改めて感じましたね」とシェフ。小麦粉を使用していないので、グルテンフリーのお菓子としても優秀です。甘さ控えめで、コーヒーはもちろん、日本茶や洋酒、ワインにもよく合います。
「マットーネ」のテイクアウトは1本2200円。1日に10本ほどしか作れないそうですが、予約は可能とのこと。化粧箱で包装されているうえに、要冷蔵で1週間ほど日持ちするので、プレゼントにもぴったりです。
イートインの場合は1切れ500円。ただし単品での注文は受けておらず、お食事を楽しんだあとに味わってほしいとのこと。隠れ家バールで、ぜひ「マットーネ」とともにタパス料理をゆっくりと堪能してみては。
★マニアさんのおすすめポイント★
「マットーネ」はお酒と一緒にいただいてもおいしい!とくにワインとの相性が素晴らしい。あんこがアテとしてもいけるのだということを実感します。大人にこそ体験してみてほしいあんこの逸品ですね。
[anko_02]店舗情報

パリパリの皮にあんこをはさんで食べる最中のテイクアウト専門店

素材と製法にこだわった種類豊富な手作りあんこ

お寺がたくさんあって、都会なのに落ち着いた雰囲気がただよう谷町筋。その町に可愛らしく佇む「一吉」は、和菓子店というよりもカフェのような店構え。前を通りがかるとふと入ってみたくなる、最中のテイクアウト専門店です。
「一吉」の最中のいちばんの特徴は、梅や桜の形をしたパリパリの皮に、カップに入ったあんこを自分ではさんでいただくスタイル。おしゃれで、1個からでも気軽に買えて、作りたてをパクパク食べながら町歩きをするのがとっても楽しいんですよね。
そんな「一吉」の最中が日本中のあんこ好きや和菓子マニアから熱い支持を受けているのは、その本格的なおいしさと、既成概念にとらわれない独創性にあるのです。
定番商品の「粒餡最中」(240円)は、北海道産の小豆に黄ザラメを使い、甘さを極力抑えてあと口よく仕上げたあんこが絶品。あんこはすべて銅鍋で炊いている自家製。少し塩味をきかせ、透明度が高くきれいに固まる糸寒天で仕上げるなど、素材、製法のすべてに工夫が感じられます。
また、味噌あんもぜひ味わってみたい逸品です。北海道産の手芒豆、有機白味噌を使い、黄ザラメを加えて炊き上げた味噌あんは、関西らしく白味噌にこだわった上品ですっきりとした甘さで、お茶だけでなく日本酒やウイスキーなどのお酒にも不思議なほどよくあいます。果物、野菜、バター、マスカルポーネなど、和洋を問わずどんな食材にもマッチ。「有機白味噌餡有機いちじく最中」(250円)と「有機白味噌餡最中牛蒡入り」(240円)は、どちらもこの味噌あんの定番商品。
「ごまくるみ最中」(320円)は、しゅまり種の小豆こしあんごままぶしに、有機くるみが香ばしく、ナッツ好きにおすすめ。「きなこ粒餡最中」(250円)は、つぶあんときなこの調和した味わいが、舌の肥えたあんこマニアをも唸らせます。「和菓子は材料がシンプルなので、味を決める素材にはできるだけ国産、有機食品を使って、お店で手作りしています」とのこと。皮だけを買い求めにくる人もいるほどの最中の皮は、餅粉を100パーセント使い、260℃で焼き上げたもの。大阪の信頼できる老舗の皮屋さんから直接仕入れているのだそうです。
このほか、オリジナルあんや珍しいあんがいろいろ楽しめるのも魅力。「ラムレーズン」(260円)や、「こんぶみたらし餡」(390円)は、人気がありすぎてもはや定番化。季節によっては「ビーツ餡」「カボチャ餡」「ゆずこし餡」などの変わりあんや、「干し柿バター白味噌餡」「デコポン白味噌餡」「イチゴマスカルポーネ」「モンブランマスカルポーネ」などの個性派も並びます。
5個、10個、15個のギフトボックスもあり、予約や地方発送もOK。大阪のお土産としても、プレゼントとしても喜ばれそう。お店のスタッフはみんな気さくで、周辺の名所案内などもしてくださるとのこと。ぜひ、お散歩がてらでかけてみては。


★マニアさんのおすすめポイント★
こちらのあんこは、お店で作れる7通りものレシピから最中に合うものを選んで手作りされています。皮とカップ入りのあんこが別々になっていて、自分でセットして食べるのが本当に楽しい! あんこは冷蔵庫に入れておけば5日から1週間、皮だけだと半年も日持ちするそうです。
[anko_04]店舗情報
【編集後記】
小豆と砂糖と塩。あんこはシンプルなものだからこそ、素材の違いや配合、製法などによって大きく味がかわるのですね。また、シンプルなものだからこそ、あんこは他の食材ともよく合う。そして、その組み合わせによって、思いがけないおいしさが生まれるのだということがよくわかりました。伝統を大切にしつつも、新しいものが大好きな大阪の人々、大阪のお店、大阪の街とあんこの相性はぴったりだと言えるのではないでしょうか? 今も昔もこれからも、大阪のあんこスイーツからは目が離せそうにありません。
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