今回選定したお店は、地元で特に根強いファンが多いお店、名物が特に人気、コストパフォーマンスが抜群、遠くからもお客さんが訪れるお店です。町中華は家族経営のお店が多いため、まずは地元のお客さんとの関わりが不可欠。それぞれ強みがあるからこそ、地元の常連さんが増え人気につながっています。

常連さんは、ついメニューにはないメニューを店主に注文するようになるもの。それが結果として裏メニューやお店の名物になっていくパターンが多いです。“ちょっとずつ、いろんな種類が食べたい”という要望や“これとこれの組み合わせが食べたい”などの要望に応えたからこそ生まれた、中華のジャンルを超えたメニューをぜひ味わってみてください。

約40年中華料理を経験してきた店主の中尾さんが2010年にオープン。これまでのレシピをベースにしたメニューは、中華のほかトンカツやチキンカツなども揃います。料理は使用する白絞油にこだわり、頻繁にキレイな状態を保つことで「年配者でもトンカツなどを食べにいらっしゃいますよ」と言うほど、しつこくなく、さっぱりとした味わいが特徴。名物になっているボリュームたっぷりの「ぐら定食」のほか鍋物も豊富で、ピリ辛の「もつ火湯（ほーたん）鍋」（1人前1,400円/税込）が1番人気です。現在は、昼夜ともに材料がなくなり次第早く終わってしまう日もあるなど、人気ぶりはかなりのものと伺えます。

元は修業時代のお店の定食を再現したという人気メニュー。皿には酢豚、海老天、モモ唐揚げ、玉子焼き、キムチ、モヤシとザーサイの和えもの、サラダが盛られ、ご飯の茶碗と比べてもそのボリュームは一目瞭然。ご飯の量は細かく選べますが、食べ残しのないようおいしく味わいましょう。

こちらはお酒のアテにもなる逸品。昔ながらの王道なケチャップベースで、甘みの中にもしっかりとした辛さとニンニクを効かせたパンチのある味付けがポイントです。また、見栄えや食感が引き立つピーマンと玉ネギを加えているのも町中華らしさ。メニューは11月より値段変更予定です。

★マニアさんのおすすめポイント★
「ぐら定食」は、大きなお皿にぎっしりとおかずが並び、すごいボリューム。唐揚げはプリッとして下味がしっかり付いていて旨く、エビ天は衣がサクッと軽く、エビのプリプリ感が素晴らしい！

北浜のビジネス街の中心に隠れるように佇む創業42年の名物店。ツタの絡まったビジュアルが印象的なレトロビルは国登録有形文化財にも指定されており、狭い階段を降りるとタイムスリップしたような雰囲気の店内が広がります。古くから変わらないというメニューはどれもボリュームたっぷりで、親しみやすい麺類や丼ものなどが豊富。名物の天津カレー炒飯は「炒飯に卵をのせてほしい」という常連さんのリクエストに応えて生まれたものだそうで、家族経営だからこそのフレンドリーな雰囲気も魅力です。夜はセットや汁もの麺類など一部料理は注文不可。そのほか、現在は料理のテイクアウトにも対応しています。

店を代表する玉子焼きのせスパイシー炒飯。炒飯はカレー粉などに少し砂糖を加え、香辛料が引き立つピリ辛味。玉子焼きは表面はしっかり中は半熟のフワトロ食感で、炒飯の刺激を調和してくれます。テイクアウトOKですが、その場合卵にしっかり火を通す焼き加減のため、できれば店内で。

人気ツートップの対をなす、ボリュームガッツリの餡かけ焼きそば。ラーメン用の細麺を一度ゆで上げてから中華鍋でしっかり焼くことで、香ばしさとモチモチ感を堪能できます。また、ところどころカリカリ感のある焦げ目も絶妙。上には、豚肉や白菜、ニンジン、キクラゲ、タケノコなどが入った餡がたっぷり。

★マニアさんのおすすめポイント★
「天津カレー炒飯」は玉子焼きの表面は卵が固まる最小限度に火が通っていて、中は半生でぷるんぷるん状態！カレー粉たっぷりな炒飯は基本に忠実な懐かしい味。だからこそ、どこまで食べても変わらない味にとりつかれてしまいます。

東京などで修業した店主の魏さんが2009年にオープン。親しみやすい雰囲気ながら本格的な四川料理を気軽に楽しめると、多数のメディアでも取り上げられています。なかでも人気メニューの四川風麻婆豆腐は、自家製の豆板醤に唐辛子や花椒、山椒の痺れを効かせた理想形。刺激はもちろん、唐辛子の旨みや香り、粗めのミンチのしっかりとした食べごたえも魅力です。そのほかディナーではフカヒレやおこげなど100種類以上が揃い、コースも充実。チンジャオロースーや厳選した空芯菜の炒め物など、ランチから注文できる単品メニュー（一部は13:00以降）もあるので、昼から大勢で本格四川料理を楽しむこともできます。

店内の張り紙にもある店のNo.1人気メニュー。餡は豚ミンチや玉ネギ、キャベツ、白菜などの王道で、ニンニクは不使用。厚めの皮と極秘の焼き方に特徴があり、大きな餃子はひと口かじると、まるで小籠包のようにたっぷりの肉汁が飛び出します。旨みが深いのでぜひタレをつけず味わってください。

2020年8月には2階に新フロアが誕生。たっぷりと自然光が差し込むオシャレな空間は、テーブルと円卓合わせて42席と1階よりも広いので、ゆったりと料理を味わうのに最適。シンプルでちょっと高級な雰囲気なので、1階とは違った時間を過ごせます。

★マニアさんのおすすめポイント★
本格四川系とは若干違うものの、独特の旨みが素晴らしく濃厚で、辛さもしっかりあって癖になる味わいの四川風麻婆豆腐。餃子は小籠包を食べているのかと錯覚するほど、中から超大量の肉汁がドバっと出てきます！

たくさんの飲食店を手がけてきた店主が一家で経営する、オープンして7年になる中華料理店。テーブルや円卓など席数が多い店内では、広東料理や四川料理をベースに約90種類のメニューが楽しめます。なかでもランチタイムの定食類が充実しているのが魅力で、酢豚定食や八宝菜、麻婆豆腐など定番がメインの定食は常時10種類。いずれもボリュームたっぷりなだけでなく、それぞれが日替わりで700円（税込）になるなど、さらにお得に。また、ランチのピーク（13:00頃）を過ぎれば食後にアイスコーヒーを出してくれるサービス精神も嬉しいです。夜は多彩なメニューのほか、3,050円（税込）とコスパ抜群の食べ飲み放題が大人気。

1人前以上あるボリュームたっぷりの酢豚に大きな唐揚げが2個、小鉢、スープが付いた定食。酸味と甘みのバランスがよい酢豚は白米と相性抜群で、ご飯が進むこと間違いなし。さらに注文から提供までのスピードも早く、時間のない時も助かります。ちなみに酢豚定食は月曜日が700円（税込）とお得に。

夜の人気メニューの一品。イカやパプリカ、セロリ、キクラゲなど見た目にも鮮やかな炒めものは、大きくカットされた素材の食感と旨みを感じるあっさりとした味付けです。四川風のためジワジワと辛みも感じますが、辛すぎずさっぱりとした後口も魅力です。

★マニアさんのおすすめポイント★
豚肉がたっぷりの酢豚に大きな唐揚げが2個、スープ、ザーサイ、ご飯、そして食後のコーヒーまで付いてこのボリュームでたった700円は驚異的に安い！
ランチタイムの定食はどれも素晴らしいボリュームでびっくりするほど安く、ホスピタリティ満点ですさまじく繁盛している私の大好きな町中華です！

創業から約半世紀。現在は45年間中華料理の経験を持ち、創業時にお店で働いていた店主が店を継がれています。メニューは麺類もご飯類も500円台からと良心的。定番ながらも「美味しく味わってもらえるように」と丁寧な調理を心がけている料理は、カツ丼なら豚ヒレの余分な筋を取り除き柔らかな食感に。中華餡もあっさりとした味付けで、カツの食感や風味を引き立てます。また町中華らしいメニューの豊富さも魅力で、特に組み合わせが多彩な定食やセットは15:00以降も50円アップで同じメニューが注文できるのが嬉しいポイント。夜はご飯を焼き飯、中華丼、天津飯、マーボー丼から選べるので、楽しみ方もグッと広がります。

プリプリ食感のエビをマヨネーズと練乳をベースに味付けした定番の人気メニュー。コクと甘みのある風味ながら、ジンやレモンを使うことで、あっさりとした後味に仕上げています。時間を問わず、飲食1,200円以上で120分1,480円の飲み放題がOKなので昼飲みにも最適です。

店内は昔ながらの町中華をイメージさせる雰囲気。中華料理店の定番とも言うべき赤いテーブルや小上がり席、黄色い短冊メニューがズラリと並ぶ空間は、一度はどこかで見たような懐かしい気持ちにしてくれます。スペースもゆったりと広く、円卓もあるので、大人数でもOK。

★マニアさんのおすすめポイント★
「カツ丼」は鶏ガラスープがベースのやや甘めの餡がトンカツとご飯に絡みまくって旨い！ メニューの種類がとても多く、全体的にとても良心的な価格設定ですね！

【編集後記】
今回紹介した町中華は歴史の違いこそあれ、ボリューム、コストパフォーマンス、近隣の人たちの支持など、しっかりとポイントを押さえたお店ばかりでした。なかでも一番に共通していたのは、お客さんに満足して帰ってもらいたいというホスピタリティ。提供スピードにはじまり、充実したセットメニュー、原価を考慮しない内容など、どれも素晴らしいものばかり。
「町中華」と言うと、初心者にはハードルが高いと感じる人もいるかもしれませんが、慣れてしまえば、こんなにお得で使い勝手の良いお店はありません。まずは、気になる店のランチにチャレンジしてみては？さらに、お昼だけでなく夜もお得なので、行きつけの「町中華」を見つけるなど、愉しみ方を広げてみてください。