いつも大阪を見守ってます オオサカ銅像マニア いつも大阪を見守ってます オオサカ銅像マニア

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公開日2022.02.10

紹介してくれるマニアさん

【日本の銅像探偵団】主宰遠藤寛之さん

銅像サイト「日本の銅像探偵団」を主宰し、全国の偉人顕彰像のデータベース化を目指す。これまでに1000体以上の銅像を巡り雑誌やテレビで活躍する他、「日本の銅像完全名鑑」(廣済堂出版刊)の監修にも携わる。

時空を超えて、偉人たちと対面しているよう

もともと歴史や戦国武将が好きで、銅像巡りを始めたのは、室町時代後期の名将で、江戸城を築城したことでも知られる、太田道灌の銅像を訪れたことがきっかけ。実は太田道灌の銅像は関東を中心に10体以上あり、道灌の銅像をスタンプラリーのような感覚でまわっているうちに、興味の幅が少しずつ広がっていったという感じです。
私がライフワークとしているのは、仏像や抽象的なアート像などではなく、功績を残した歴史上の人物を顕彰するために建てられた、いわば 「偉人顕彰像 」。その偉人とゆかりのある場所に必ず建っているので、銅像を眺めることで、偉人たちと時空を超えて対面しているかのような、そんな気持ちになれるところが、銅像の魅力だと思います。

  • ※当サイトにて記載の営業時間については、通常業務の時間となります。詳細は各店舗・スポットにてご確認ください。
目次

知らない人物の銅像にも、スポットライトを!

“功績を残した人の銅像を建てる”という文化は、日本では明治維新の頃から始まりました。大阪にも、明治を支えた人物の銅像がたくさん存在していますが、中には、一般的によく知られていない人物が銅像になっていることも。台座の部分などに、その人物が成し遂げた功績が記されていることがほとんどなので、こちらもぜひ一読して、大阪の発展のために力を尽くしてくれたことを知ってもらえたらと思います。

様々な角度から銅像を眺めてみよう

銅像を眺めるときは可能であれば、正面だけでなく全方向から眺めてみるのがおすすめ。よりかっこよく見える角度や、細部にまで施されたこだわりを発見できるのはもちろん、周りの風景との様々なコントラストも楽しむことができます。

威厳に満ちた天下人たる姿【豊臣秀吉公像】

大阪城天守閣所蔵の陣羽織と軍配を忠実に再現

大阪にゆかりのある歴史上の人物として、豊臣秀吉を真っ先に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。そんな豊臣秀吉の銅像が建つのは、大阪城公園内にある「豊國神社」。豊國神社は秀吉と秀吉の子である秀頼、秀吉の弟の秀長を祀る神社で、出世開運のご利益があることでも人気を集めています。
国内外からたくさんの参拝客が訪れる名所。
豊臣秀吉公像が建っているのは、桜門近くにある豊國神社の鳥居の前。たくさんの参拝客が360度・全方向から銅像をじっくりと眺めることができる、広々としたスペースになっているところも魅力の一つとなっています。
戦争中の金属類回収令によって先代の銅像が供出され、2007年(平成19年)に、現在の銅像が再建された。
「秀吉の銅像は、出身地である愛知県などにも何体か存在しているのですが、豊國神社の秀吉像はまさに“天下をとった!”という雰囲気。勇ましくて威厳のある秀吉の姿を見ることができます」と遠藤さん。
陣羽織の中でも、秀吉が好んで身に着けたと伝わる陣羽織をセレクト。
実は豊國神社の秀吉像は、遠藤さんが受けた印象のとおり、天下統一を成し遂げた1590年(天正18年)の小田原攻めのときの秀吉の姿を表現しているのだとか。
この銅像を制作したのは、日本を代表する彫刻家として有名な中村晋也氏。陣羽織と軍配は、大阪城天守閣に所蔵されている、豊臣秀吉所用と伝わるものを忠実に再現しており、制作のために中村氏自らが、住まいのある鹿児島県から大阪城天守閣まで、何度も足を運んだそうです。
写真を撮るなら、西から陽の当たる午後の時間帯がおすすめ。
秀吉公の視線の先にあるのは、大阪城天守閣。まさに自分が作った城を眺めながら、戦国三大武将たる威厳を今なお放ち続けています。

★マニアさんのおすすめポイント★
大阪の中心地にある、大阪を象徴する銅像。全方向から銅像を堪能できるロケーションも貴重です。
[bronze-statue_01]店舗情報

大坂冬の陣での活躍ぶりを再現【真田幸村公之像】

陣中指揮をとる勇ましい姿が歴史ファンを魅了!

銅像のそばにある、抜け穴跡も必見!
1614年(慶長19年)、真田幸村は、徳川方が大阪城の城南に一斉に侵攻することを察知して、わずか1カ月あまりで偃月(えんげつ) 城と呼ばれる砦=真田丸を設け、大阪城に通じる抜け穴を作ったと言い伝えられています。
同年11月に起きた大坂冬の陣では、鉄砲隊を配備した真田軍により、徳川軍が大打撃を被ることに。ご紹介する真田幸村の銅像がある「眞田山三光神社」には、この抜け穴の跡が今もなお、三光宮鎮座の階下に残されています。
鉄砲隊を駆使した采配で大活躍!
1987年(昭和62年)に建てられた三光神社の真田幸村像は、この大坂冬の陣での活躍ぶりをイメージして作られたもの。甲冑を身にまとい、陣中で指揮をとる勇ましい姿が表現されており、遠藤さんも「大阪で一番かっこいい銅像」と絶賛しています。
著名人の似顔絵などを手掛ける、成瀬國晴氏がデザイン。
この銅像をデザインしたのは、イラストレーターの成瀬國晴氏。上記の成瀬氏が描いたイラストをもとに、銅像制作が行なわれたそうで、采配を手にした力強いポーズは、まさに徳川軍を退けた戦国のヒーローそのものです。
ちなみに幸村の身長は、当時の成人男性の平均身長を考慮して、150㎝台に設定されているとのことです。
毎年開催の「真田まつり」には、全国からファンが訪れる。
台座に、真田家の菩提寺である長野県上田市の「長谷寺(ちょうこくじ)」よりとり寄せた石、名づけて「真田石」が置かれているところも、歴史ファンにはたまらないポイント。ちなみに、毎年11月の第1日曜日には「真田まつり」が開催されており(2021年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止)、真田軍の勝利を祝う式典を行なっているそうです。

★マニアさんのおすすめポイント★
甲冑姿が勇ましい、まさに大阪の戦国ヒーロー!
[bronze-statue_02]店舗情報

明治の風を駆け抜けたカリスマ【五代友厚公像】

全高7.8mの北浜のランドマーク

五代友厚といえば、朝ドラでディーン・フジオカさんが演じたことで人気を集めたことでもおなじみ。幕末から明治にかけての激動の時代に、近代大阪経済の基盤を築いた人物で、本物の五代友厚もシュッとしたお顔立ちの、かなりのイケメンだったと言われています。
明治維新期の大阪経済界のリーダーで、「東の渋沢栄一・西の五代友厚」と称されることも。
五代友厚の銅像は、大阪市内に5体あり(生誕の地である鹿児島県にも2体ある)、ご紹介する大阪取引所前の銅像は、ビルの建て替えが行われた2004年(平成16年)に登場。今や北浜エリアのランドマーク的存在となっており、遠藤さんは「五代が立つにふさわしい場所」という理由から、この銅像を選出しています。
五代らが株主となり、1878年(明治11年)に大阪株式取引所(現在の大阪取引所)が開業した。
取引所前に五代友厚像が建てられたのは、五代が大阪取引所の前身である大阪株式取引所の設立のために、発起人として尽力したことが所以となっているのだとか。
大阪取引所内のギャラリー(営業状況はWEBサイトで確認を)には、創業時の貴重な史料が展示されており、五代らが株主であることを記した書面を目にすることもできます。
豊臣秀吉公像と同じ、彫刻家・中村晋也氏が制作。
大阪取引所前の五代友厚像を制作したのは、「大阪城 豊國神社」の豊臣秀吉像と同じ、彫刻家の中村晋也氏。身に着けたジャケットの裾が風になびいている様子は、明治維新の風を受けながら、五代が颯爽と活躍したことを表現しているのだそうです。
また中村氏は、交通量の多い交差点前に銅像が建てられることから、「象徴的でかつじゃまにならない大きさ」にすることに留意。さらに「東の渋沢と西の五代が並んで評されるべき」ということから、常盤橋公園(東京都千代田区)にある渋沢栄一像と、台座を含めた像の高さをなるべく揃えるようにしたそうです。
ちょっぴりレトロなアールデコ調のエントランスが、銅像の雰囲気とマッチ。
超高層ビルに生まれ変わった現在の大阪証券取引所ビルですが、銅像の後ろに見える楕円型のエントランス部分は旧市場館の面影を残したまま。右手をポケットに添えてスラリと佇む、五代の雰囲気にもぴったりです。

★マニアさんのおすすめポイント★
大阪の発展をけん引した人物らしい、威風堂々とした姿。かつイケメン!
[bronze-statue_03]店舗情報

政治力に優れた第6代大阪市長【池上四郎市長像】

天王寺動物園の生みの親。銅像のレアな質感&色味にも注目

福島県会津若松市の出身で、大阪府警察部長を経て大阪市長に就任。
1913年(大正2年)より3期10年間、第6代大阪市長として市政を担った池上氏。もとは大阪府警察部長を務めていた人物で、その清廉な働きぶりと冷静な判断力で、多くの信頼を集めていたそうです。
じつは、大阪の定番人気スポット「天王寺動物園」を設立したのが、市長時代の池上氏。当時の大阪には、明治時代に開設された「府立大阪博物場」という人気施設があったのですが、近隣で起きた大火をきっかけに、施設内の動物檻が廃止されることになってしまいました。すると池上市長は、動物たちを大阪市で引き取ることを英断。1915年(大正4年)に、天王寺公園の一角に天王寺動物園を設立したのだそうです。
人望の厚さがうかがい知れる、先代銅像のスケール感!
実は池上氏の死後6年経った1935年(昭和10年)に、先代の銅像が建てられているのですが…写真のように、この銅像のスケール感が半端ない!台座の部分を含めた高さは73尺(約22m)にも及んでおり、しかも、この銅像を制作したのが、「平和公園」(長崎県長崎市)にある「平和祈念像」などを制作した、彫刻家の故・北村西望氏というから驚きです。
現在の銅像は、天王寺動物園に隣接する「てんしば」内にある。
先代の銅像は、前述の豊臣秀吉公像と同様に、戦争中の金属類回収令によって供出されてしまいましたが、1959年(昭和34年)、市制施行70周年を記念して、現在の銅像が再建されました。
この銅像で特徴的なのは何といっても石に近い質感と、黄色がかった色味。なかなかお目にかかれない、非常にレアな銅像だと思います」と遠藤さん。
銅像というと、茶系色や緑系色の濃い色味のものを想像しますが、確かに池上氏の銅像は日本人の肌に近いような、クリーム系のやさしい色。小さな子どもでも親しみやすい印象が感じられ、ファミリーが集まる「てんしば」の、明るい雰囲気にもマッチしています。
左手に帽子を持つ、後ろ姿もおしゃれ。
実は、秋篠宮文仁親王妃紀子様の曽祖父でもあるという池上氏。緑の芝生が広がる憩いの場を、今日も穏やかな笑顔で見守っています。

★マニアさんのおすすめポイント★
大阪に憩いの場を提供してくれた人物。一見、石像にも見える、なかなかレアな銅像です。
[bronze-statue_04]店舗情報

神秘的なオーラを感じる凛とした立ち姿【安倍晴明公像】

母と子の銅像が並ぶ、出身地ならではの風景

安倍晴明は平安時代に活躍した陰陽師で、2000年代初頭に起きた安倍晴明の大ブーム以来、女性を中心に今もなお根強い人気を集めています。
安倍晴明をお祀りする神社といえば、京都市上京区の晴明神社が有名ですが、遠藤さん曰く「大阪の安倍晴明神社は晴明の出身地と言われるところ。晴明の銅像のほか、母・葛之葉にまつわる銅像もあるので、晴明ファンの方にはぜひ一度、足を運んでいただきたいです」。
阿倍王子神社から、歩いて3分ほどのところにある。
安倍晴明神社は、安倍晴明の没後2年が経った1007年(寛弘4年)に、花山上皇のご意向によって創建されました。その後幕末に一度衰微しましたが、1921年(大正10年)に、阿倍野の総鎮守である阿倍王子神社の末社として復興が認可され、1925年(大正14年)に現在の御社殿が竣工したのだそうです。
安倍晴明公一千年祭に際して、安倍晴明神社の境内に建立。
安倍晴明神社の安倍晴明像は、「安倍晴明公一千年祭」の事業の一つとして、2005年(平成17年)建立されたもの。阿倍王子神社に所蔵されている「安倍晴明公坐像」をもとに立像のイメージを作成したそうで、凛とした立ち姿に、天才陰陽師として君臨した晴明のオーラを感じます。
安倍保名に助けられた白狐が女性となって現れ、2人が結婚して晴明が誕生したと伝えられている。
安倍晴明像のすぐ隣には、「葛之葉霊狐の飛来像」という狐の銅像も。実は晴明公の母・葛之葉は狐であったと言われており、和泉(現在の大阪府和泉市)にある信太森(しのだのもり)から飛来する姿を表わしているのだそうです。
境内にはその他にも、晴明公の産湯井の跡や、神社所蔵の掛け軸をもとに作製した石碑「葛之葉姫図」などがある。
晴明がまだ幼い頃、狐であることを知られた葛之葉は、和歌を残して信太森に帰ってしまったのだとか。1000年の時を経て、母と子の銅像が隣同士で並ぶ姿に、心がほっこりなごみます。

★マニアさんのおすすめポイント★
京都の晴明神社の晴明像は座像なので、2つの銅像を見比べてみるのも楽しいと思います。
[bronze-statue_05]店舗情報
【編集後記】
1日に3~4件のペースで取材先をまわっていたのですが、行く先々で偉人たちの歴史に触れられることが楽しく、またお天気に恵まれたことも相まって、仕事でありながら、銅像巡りを満喫してしまいました。しかも遠藤さんのセレクションが、人物的にもエリア的にもバラエティに富んでいたので、わくわく感がさらにアップ!みなさんもOsaka Metroをフル活用して、お散歩気分で銅像巡りを楽しんでみてください。
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