水の都を見守るシンボル オオサカ橋マニア 水の都を見守るシンボル オオサカ橋マニア

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公開日2026.05.11

紹介してくれるマニアさん

FM COCOLO DJ尾上さとこさん

毎週土曜日7:00~11:00に放送中の『Hitsville765』を担当。橋好きが高じてスタートした名物コーナー「やっぱし橋が好き」では、毎週1橋を取り上げ、その歴史や魅力について紹介する。番組内で紹介した橋の数は300橋近くに及んでいる。土木学会|土木広報大賞2025 準優秀部門賞【映像・メディア部門】受賞 。土木学会 田中賞選考委員会|令和7年度田中賞「かけはし賞」受賞。写真は最も好きな橋の部材である「支承」(橋の上部構造と下部構造の間に設置する部材)とともに撮影した一枚。
・Xアカウント:https://x.com/satokoonoe
・Instagramアカウント:https://www.instagram.com/satokoonoe/

技術と情熱、挑戦が詰まった街の一点モノ

10代の頃から1960年代周辺のカルチャーを追いかけ、次第にモダニズム建築にも興味を持ち始めるようになった頃、レトロなデザインがかわいいと一目惚れしたのが淀屋橋にある栴檀木橋(せんだんのきばし。「Other Spot」で紹介) 。思えばこれが私の橋マニアへの入り口です。「やっぱし橋が好き」(https://x.com/765Hitsville)は、橋のコーナーをやりたいという私の提案に「どんな町にも橋はある。リスナーにとっても身近なもの」というスタッフの共感を得て実現したコーナー。放送中にリスナーから橋にまつわる質問が寄せられれば、建設業界で働く専門家のリスナーが解決してくれるという、生放送ならではのやりとりもあります。橋には、「トラス橋」「アーチ橋」「斜張橋」「吊橋」などのさまざまな形式がありますが、もちろんデザイン性だけを追求して採用されたものではありません。その土地の地盤や周囲の景観との調和、さらに時には生態系をも熟慮され選択された、まさに「環境に合わせた一点モノ」。毎週 1 橋を紹介するにあたり、その橋梁形式や構造が選択された理由を考えるたびに、地域ならではの実情に応じて、当時の技術者のみなさんがいかに知恵を絞られたか、その情熱や挑戦を目の当たりにします。私はそうしたところにロマンを感じ、素人の目線ではありますが、熱量と土木愛だけは高めに、そして、いつも私たちの暮らしの安心安全を守ってくださるみなさんへの感謝を込めて「やっぱし橋が好き」をお届けしています。

「浪華八百八橋」の大阪には紹介したい橋がいっぱい!

「水都大阪」として親しまれる大阪には、「浪華八百八橋」(808の橋があるというわけではなく、多くの橋があるという意)と呼ばれるほどに、古くから多くの橋が架けられてきました。今回、Osaka Metro沿線の13橋を選ばせていただいたのですが、13橋に絞るというのは至難の業でした。とはいえ、「大阪を代表するにふさわしい橋」「継承の物語を持つ橋」「新感覚のデザインの橋」などのさまざまな切り口から、そして、さまざまな種類の「構造」と「材質」の橋を紹介できたら、という思いで選ばせていただきました。ぜひ足を運んで、それぞれの橋が放つすばらしさを体感していただけたらと思います。

興味はいろいろ。思い思いの橋めぐりを楽しもう

どの橋を訪れようかと迷っている人は、お好きな映画やドラマに登場する橋や、絵画のモチーフになった橋を、聖地巡礼の感覚で訪れてみるのも一つ。また、橋名板(きょうめいばん。橋名等を記した銘板) の意匠に注目してみたり、橋歴板(きょうれきばん。橋名や完成年月、事業者、設計者、施工者、荷重、使用材料等を記した銘板) から橋の歴史を読みとったりするのもおもしろいです。可能な場所であれば、ぜひ橋の下に潜り、見上げてみてください。みなさんならではのさまざまな発見から、背景にある物語を想像してみるのも楽しいものではないでしょうか。
橋は、周辺の風景との調和を感じながら全景を眺めるのも良いものですが、近づいて使用された部材に注目するのもマニアな楽しみ方。橋の部材には、「縦置きサンドイッチ型積層ゴムダンパー」などのように、プロレスの必殺技を彷彿とさせるかっこいい名前のものも多いので、部材名とそれぞれが担う大切な役割も知っていただけたらうれしいです。
ところで、大阪ではこれから多くの橋が続々と100歳を迎えます。みなさんも橋マニアの仲間入りをして、一緒にお祝いしませんか?
(写真提供:尾上さん)
※2026年5月11日時点の情報です。
目次

真っ赤なボディが心を奪う、大阪港のランドマーク

中央径間の長さが日本第1位、世界第3位。地震対策でもリード

青い空と青い海に真っ赤なボディがひと際目立つ、大阪港のランドマークといえば港大橋。完成したのは1974年で、当時まだ開発中だった南港エリアへのアクセス向上のために、阪神高速湾岸線の建設に伴って架けられた橋です。
上下2層のダブルデッキを持つことも特徴の一つで、上路は阪神高速4号湾岸線および16号大阪港線、下路は4号湾岸線および5号湾岸線が走る。(写真提供:阪神高速道路㈱)
港大橋は、直線状の部材を三角形に組み合わせた「トラス構造」を採用した、「トラス橋」という形式の橋です。全長980mの、阪神高速初となる長大橋で、中央径間(径間とは「橋台(橋の両端にあり橋を支える部分)と橋脚の間の区間」および「橋脚と橋脚の間の区間」のこと。港大橋は径間が3つあり、中央径間はその真ん中にある径間を意味する)510mはトラス橋として、日本では第1位、世界では第3位の長さを誇っています。
詳しくは「3径間ゲルバートラス橋」という形式の橋。写真は尾上さんが特別に乗船した船から撮影した港大橋で、間近に見る橋の迫力に圧倒される。(写真提供:尾上さん)
港大橋が横断するのは、大阪港の中で、大型船舶の航行量が最も多い水域。40,000t級の大型コンテナ船も航行することから、桁下には51mもの空間があり、橋の高さも81.5mあります。
ところで航空法の基準では、海面から60mの高さを超える鉄塔や煙突などの構造物は、飛行機などがぶつからないよう、赤白に塗装する必要があります。本来ならば、港大橋も赤白に塗装すべきところでしたが、「赤白のまだら模様の巨大な橋では、大阪港の玄関口としての景観が台無しになってしまう」と、航空局と協議を重ねた結果、赤1色の堂々たる橋が完成したのだそうです。
写真中ほどのアーチ部分に、高さ51mの空間がある。(写真提供:阪神高速道路㈱)
橋梁・構造工学の分野には、優秀な業績に対して授与される「土木学会 田中賞」(以下田中賞)という学会賞があります。港大橋は、設計・施工の斬新さが評価され、1974年に田中賞を受賞しましたが、実は2007年にも、2度目の田中賞を受賞しています。
2度目の受賞の理由は斬新な地震対策。阪神高速は、1995年に発生した阪神・淡路大震災で、長大橋の損傷や高架橋の倒壊が発生しました。震災後、阪神高速はいち早く長大橋の地震対策に取り組み、「すべり免震支承(めんしんししょう)」(地震の際に道路部がスライドして、橋の骨格となるトラス部材に損傷が生じないようにする仕組み)と、「座屈拘束(ざくつこうそく)ブレース」(地震エネルギーを吸収する仕組み)を、港大橋に取り入れました。
写真左が「すべり免震支承」。右は「座屈拘束ブレース」が使用されている部分を撮影したもの。(写真提供:尾上さん)
Osaka Metroニュートラム「ポートタウン東駅」から徒歩約23分の港大橋臨港緑地 は、橋の橋脚付近に整備された、港大橋を間近に捉えられる絶好の撮影スポット。人通りが少ないエリアなため、特に明るい時間帯に訪れるのがおすすめで、青空をバックに港大橋が力強く伸びる、爽快な1枚を撮影することができます。
「ここには、橋名碑のほかに、港大橋に使用している鋼材を輪切りにしたオブジェがあります。真ん中の四角い穴に、港大橋が収まるように撮影するのが、私のお気に入りの撮り方です」
鋼材のフレームの中に、港大橋の写真を収めているかのよう。(写真提供:尾上さん)
尾上さんによると、Osaka Metro「大阪港駅」から徒歩約8分の築港赤レンガ倉庫からも、港大橋がきれいに見えるとのこと。実は、続いてご紹介するなみはや大橋からも、港大橋と大阪港が織りなす、雄大な景色を眺めることができます。
なみはや大橋を上りながら撮影した一枚。写真奥に映っているのは大阪府咲州庁舎(さきしまコスモタワー)。
★マニアさんのおすすめポイント★

「浪速の名橋50選」の1つで、「令和6年度土木学会 選奨土木遺産」にも認定された橋。「やっぱし橋が好き」で港大橋開通50周年を祝う特番を放送するなど、私にとって思い出深い橋の一つです。阪神高速道路㈱の港大橋開通 50 周年特設サイトには、建設時の様子がよくわかる動画も掲載されており、一括吊上げ架設を成功させたみなさんが握手を交わす姿は感動的。最先端の技術や材料の開発など、努力の結晶が赤いボディの至るところに秘められています。たくさんある部材の中でも、510mのスパンの両端で50年間支え続ける大きな「支承」は、拝みたくなるパワースポット。喫茶店のコーヒーミルのような腰のシェイプがかわいらしくもあり、港大橋臨港緑地からも見えますので、ぜひ見つけてみてくださいね。
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S字を描く、軽快な姿が印象的な「なにわのベタ踏み坂」

港区と大正区を結ぶ長大橋。歩行者も通行可能

Osaka Metro「大阪港駅」6号出口を出て海岸通を通り築港赤レンガ倉庫に向かい、そのまま海岸通を直進すると、前方に大きな壁のようなものが立ちはだかる光景が見えてきます。それが尻無川の河口部(河川が海や湖などの他の水域に注ぎ込む部分)に架かるなみはや大橋。大阪市の港区海岸通と大正区鶴町を結ぶ橋長1573m(取付坂路を含まず)の巨大な橋で、尾上さんが「なにわのベタ踏み(自動車のアクセルペダルを限度いっぱいまで踏み込むこと)坂」と紹介してくれた坂です。

ベタ踏み坂とは、鳥取県境港市と島根県松江市を結ぶ江島大橋のことで、かつてテレビCMで“アクセルをベタ踏みしないと上れない坂道”と表現されたことから、「ベタ踏み坂」という呼び名が有名になった橋です。ちなみに、なみはや大橋の勾配(水平面に対する傾きの度合い)は、もっともきついところで6.95%。一方、江島大橋の勾配は6.1%なので、なみはや大橋は本家を超えるベタ踏み坂ということになります。
大きな壁のように見えるなみはや大橋。実際にはアクセルをベタ踏みしなくても上ることができるのでご安心を。
なみはや大橋は、1995年に完成した道路橋。S字を描く軽快な姿が印象的な橋で、このあたりの立地や大型船の往来等を考慮した結果、高くて長く、かつS字カーブの入った橋にする必要があったのだそうです。

ちなみに開通当初は有料橋でしたが、現在は無料で通行することができます。
なめらかな曲線を描く姿がなんとも美しい。(写真提供:大阪市建設局道路河川部橋梁課)
ところで、なみはや大橋は、歩いて渡ることができるのをご存知でしたか?対岸の大正区側の入り口までは徒歩約30分。実際に歩いてみましょう。
港区側の歩道の入り口。自転車の人は降りて通行する。
歩道を上って車道が見えてくると、橋名を記した碑が迎えてくれる。
「橋を歩きながら、360°の大パノラマをゆったり堪能できます」と尾上さん。確かに上り坂を上るのは大変ですが、眼下に広がる雄大な景色に心を奪われ、上り坂のきつさも、いつの間にかどこかへ消えてしまいます。

橋の途中では、港大橋(マニア記事で紹介)や天保山大橋(「Other Spot」で紹介)のほか、京セラドーム大阪などの姿も。また、尾上さんから「こちらもおすすめ」と挙げていただいていた千歳橋と新木津川大橋もきれいに見えました。
青いボディが目印の千歳橋。平成15年度「土木学会 田中賞」受賞。(写真提供:尾上さん)
尾上さんが「オバケのQ太郎みたいな形」と話していた新木津川大橋。平成6年度「土木学会 田中賞」受賞。(写真提供:尾上さん)
橋の最高地点付近の写真がこちら。橋のなめらかなカーブと青空のコントラストが素敵です。ちなみに最高地点の高さは約45m。これは、一般的なビルの15階前後に相当する高さになるそうです。
上るほどに視界が開け、空中散歩を楽しんでいるような気分に!
なみはや大橋の特徴として「S字を描く」と説明しましたが、歩いているときは終始なめらかで、S字を描いていることを忘れるほどでした。
それが到着地点の大正区側の入り口付近で振り返るとびっくり!橋がカーブを描く姿をはっきりと目にすることができました。
直線から飛び出すようにカーブを描く姿が見える。
そして大正区側の入り口付近を歩いているときに撮影したのがこちらの一枚。確かになみはや大橋は空中でS字を描いていました!
港区側と大正区側の道路の方向が食い違っているため直線に繋ぐことができず、S字カーブが入った複雑な形に。建設に携わったみなさんの技術と情熱に改めて驚かされる。
★マニアさんのおすすめポイント★

Osaka Metro「大正駅」からなみはや大橋に行くときは、大阪シティバス「鶴町四丁目北」バス停が最寄りになります。大正区側の橋の入り口でも、橋名を記した青い碑が、渡る人たちを迎えてくれます。
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御堂筋線と車が並走する、淀川に架かる交通の要衝

Osaka Metroが通過する橋。夕暮れ時の風景も必見!

「Osaka Metroに乗りながら、橋を渡るのもおもしろいかな」と、尾上さんが紹介してくれたのが新淀川大橋。Osaka Metro御堂筋線が通過する橋で、「西中島南方駅」のホームからも、線路の先にある橋のアーチ部分をかすかに目にすることができます。
橋は、西中島南方駅と中津駅の間を流れる、淀川の上に架かる。
新淀川大橋の歴史の始まりは、大正15(1926)年に計画された「地下鉄御堂筋線の開通」と、昭和7(1932)年にスタートした大阪市第二次都市計画事業の中の一つとして計画された「御堂筋の北進」にあります。
この2つの計画に合わせて、建設に着手したのが、「淀川に架かる鉄道・道路の併用橋」です。昭和14(1939)年には、すでに橋の下部工事が完成していました。
しかし資金不足と太平洋戦争の勃発により、橋の工事が中断。この状態のまま20年余りが経過することになります。
そして昭和36(1961)年に、新幹線の建設が契機となって橋の工事が再開。地下鉄の線路と、上流側(東側)の道路が完成しました。
さらに昭和44(1969)年に、日本万国博覧会の翌年開催に合わせて下流側(西側)の道路が完成。こうして新淀川大橋は現在の姿にたどり着くこととなりました。
ところで橋の東側には、自転車も通行できる歩道も設置されています。せっかくなので、実際に歩道を歩いて、橋の様子を眺めてみることにしましょう。
斜路付きの階段を上って、いざ新淀川大橋へ。
階段を上ったところは、淀川の河川敷の上。淀川に架かる新淀川大橋にたどり着くには、少しだけ距離がありますが、電車と車が並走する姿は、この地点からも眺めることができます。
電車と車のスピード感を肌で感じながら、広大な淀川を渡る歩道。意外にもビジネスパーソンやジョギングをしている人など、日々の生活に利用している人が多いという印象でした。
ちなみに、実際に御堂筋線に乗車して新淀川大橋を通過してみると、「電車が走るすぐ隣を車が走っている」という光景が。
一方、車を運転しているときも「電車が目線のすぐ横を走っている」という感覚を味わえます。
眼下に広がる河川敷の風景も楽しみの一つに。
新淀川大橋の上を走る、大阪市の中心部と新大阪・北摂方面を結ぶ新御堂筋(国道423号)は、全国でもトップクラスの交通量を誇る交通の要衝。そのうえ、新淀川大橋は御堂筋線が並走しているとあり、まさに大阪の大動脈の一部といっても過言ではありません。
時代の波を乗り越えて、現在の姿にたどり着いた新淀川大橋。これからも大阪に暮らす人たちを頼もしく支え続けることでしょう。
いよいよアーチが間近に。やさしい色味が心をなごませる。
東西の車道の間を線路が走る構造。美しい曲線を描くアーチの中を、御堂筋線が颯爽と駆け抜ける。
歩道が東側にあるということは、アーチは歩行者にとって西側に。青空の下で見る爽快な橋の風景も素敵ですが、夕暮れ時に見る幻想的な橋の姿もおすすめです。
次の写真は陽が沈むころに撮影した1枚。橋の骨組みがシルエットとなって、オレンジ色に染まる空に映し出されているようです。
いろいろな角度から橋を眺めて、お気に入りの姿を撮影してみては?
★マニアさんのおすすめポイント★
「浪速の名橋50選」にも選定されている橋。梅田のビル群と対比した曲線美を堪能していただきたいです。なお、空に架かるアーチを楽しめるのは、新淀川大橋のように、アーチの下に道路が走っている下路式アーチ橋の特権です!
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役割を変えながら、中之島に趣を添える橋

可動堰(かどうぜき)が正式な橋に。連なるアーチにうっとり

大阪市役所のほど近くにある、堂島川に架かる水晶橋。歩行者専用橋であるこの橋は、正確に言えばもともと橋ではなかったのだそうです。
南詰の階段のある風景。中之島の格調高い雰囲気にもぴったり。
1929年に完成した水晶橋は、もとは「堂島川可動堰」という、河川浄化を目的としたゲートとして造られたものなのだそう。かつては潮の満ち引きに合わせて、ゲートを開けたり閉じたりするための設備が備わっており、その上部を歩行者用の橋として利用していたのだそうです。
その後1982年に橋面の改装工事が行われたときに、さらに多くの人に親しまれる存在になることを願い、堰ではなく、法律上の橋として認定する手続きがとられたとのこと。
「もともと可動堰であったために、高い位置で歩行者が通行するようになっているそうです。可動堰時代の面影を体感しながら歩いていると、冒険心がくすぐられます」
北詰にある階段を上っているときの橋の眺め。上を走るのは阪神高速。
尾上さんが水晶橋の推しポイントとして挙げてくれたのが、橋を横から見たときに見える アーチを描く部分。「大きなアーチの上に、9つの小さなアーチがリズミカルに連なっているんです。これがなんともおしゃれで、クラシカルな印象を与えていると思います」
まさに水晶橋が永きにわたり愛されている理由は、その気品ある美しい姿。風景画のモチーフとして描かれることも多いのだそうです。
「浪速の名橋50選」にも選定されている水晶橋。写真は尾上さんがアーチ部分を美しくとらえた一枚。(写真提供:尾上さん)
水晶橋という名の由来は定かではありませんが、①橋上にある照明灯が水面に映る様子が水晶のかがやきに似ている。②「水都大阪が繁昌するように」という願いを込めて、「すいしょうばし」の名にした、という2つの説があります。
以下に登場する2枚目の写真は、橋の四隅に位置する照明灯を写したものですが、筆者にはなんとなく「晶」の字にも見えるような…そんなことも思いながら、みなさんも歴史ある橋を歩いてみてください。
橋上の照明灯。水面に映る美しい姿を想像してみては?
四隅の照明灯は「晶」の字に見える?
東隣にある鉾流橋(「Other Spot」で紹介)から撮影した写真。水晶橋と高層ビル群が織り成す、中之島らしい風景が広がる。
★マニアさんのおすすめポイント★
大阪市建設局道路河川部橋梁課の担当者の話によると、河川の水質が改善されたために、水晶橋は可動堰としての役割を終えたのだそうです。そんな大阪の発展の歴史にも触れることができるなんて、やっぱし橋はすごい!
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白いケーブルが洗練された美しさ。桜の季節もおすすめ

大規模自転車道の一部分区間として整備。名誉ある賞も受賞

中之島公園と吹田市の万博記念公園を結ぶ「北大阪周遊自転車道」の一部区間として、1978年に大川に整備された川崎橋。自転車・歩行者専用橋で、Osaka Metro天満橋駅から一番近い橋の入り口は、歩行者も自転車も上り下りしやすい、ゆるやかなスロープになっています。
スロープを上がって橋を渡ると、大阪城公園の方へ向かう。
写真は橋の近くにある、大川沿いに整備された毛馬桜之宮公園から橋を見上げるように撮影したもの。高い塔から張り出したケーブルで橋桁を吊った、「斜張橋(しゃちょうきょう)」と呼ばれる形式の橋です。
真っ白な塔が青空に映える姿も美しい。
川崎橋を紹介してくれた理由をうかがうと、「川崎橋に関する論文を読んで感激したこと」と尾上さん。
「ケーブルの本数が少ないと、広さや高さを感じ、また径が太くなるために、私たちは力強い印象を持ちやすいようなのですが、この橋では、設計したみなさんが、優美さや温かみを感じられる橋にしたいと、ケーブルは一本一本をできるだけ細くし、本数を多くするのが良いと考えられたようです。また、ケーブルを橋桁や主塔に繋ぐための部材には、新しい技術を取り入れたそうで、それがその先の日本を代表する長大な斜張橋に受け継がれていくことにも感動を覚えました。さらに、歩きやすく渡り心地の良い橋にするために、いろいろな歩調で橋を歩いて、どれほど揺れを感じるかという実験を行ったとのこと。技術への挑戦の背景には、設計者や架橋に携わった方々の”渡る人たちへの想い”があったことを知り、感銘を受けました」
川崎橋は、「技術的に優れた、景観を重要視した橋」として、昭和53年度「土木学会 田中賞」を受賞。さらに「浪速の名橋50選」にも選定されています。
天満橋駅の方から眺めた橋の風景。右奥に大阪城天守閣が見える。
今回の「橋マニア」では川崎橋のほかにも、ケーブルを使った橋が2つ登場します。
「なんばエリアの浮庭橋と、大阪港エリアの天保山大橋です(いずれも「Other Spot」で紹介)。同じケーブルを使った橋の仲間でも、ケーブルの張り方や塔の形が違うので、3つの橋を見比べていただくのも楽しいと思います」
「高い塔から目の前にケーブルが迫る様子は、漫画の集中線(驚きや強調したい時などによく見られる放射状の線)を思わせます。周囲の安全に気をつけながら、カメラを構えてもらえたら」と尾上さん。
川崎橋は「桜の通り抜け」で有名な造幣局の南門近くにあり、さらに北門近くには「Other Spot」で紹介している桜宮橋があります。2つの橋は、毛馬桜之宮公園を通って行き来することもできるので、桜の季節にもぜひ一度足を運んでみてください。
橋×桜の絵になる風景を尾上さんが切り取った一枚。(写真提供:尾上さん)
★マニアさんのおすすめポイント★
洗練された雰囲気の中に、どこか温かみも感じられる、個人的にも大好きな橋です。架橋の背景にある技術者の皆さんの想いにも触れながら、渡り心地の良さを体感してください。特に桜の季節はおすすめ!
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【編集後記】
「浪華八百八橋」と呼ばれるほどに、橋が身近な存在として息づく大阪。尾上さんによると、官民協働で橋を清掃する「橋洗い」を実施している地域があったり、産官学民の連携により、水の都と呼ばれている大阪の魅力を橋から発信する「水都大阪ブリッジテラス」(https://osakabridge.wordpress.com/)という取り組みがあったりするそうです。なお、尾上さんは2026年6月6日に開催される『大阪の橋・東京の橋 100年の歴史とまちとの関わり』というイベント(https://event202606-osaka-bridge.peatix.com/)の、シンポジウムにコメンテーターとして参加するとのこと。同イベントでは、大手橋(大阪市中央区)の橋洗いも予定されているそうなので、興味のある方はこちらにも足を運んでみてください。
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