

紹介してくれるマニアさん

雑誌の仕事で特集企画のテーマとして蕎麦を取り上げ、それをきっかけに蕎麦の魅力に心を奪われた。30年以上にわたり蕎麦を食べ歩き、研究を続けている。東京で開催する蕎麦打ち教室「蕎麦のソムリエ講座」には、日本ばかりでなく世界中から受講生が集まる。蕎麦鑑定士や蕎麦のソムリエといった、資格認定も行なっていて、受講生は数千人にのぼる。現在は、福井県の越前市、新潟県の十日町市など、蕎麦処のプロデュースを行なっている。今後の目標は「大阪を日本一の蕎麦処にすること」。著書多数。Webサイト「日本蕎麦保存会jp」などを運営。
実は大阪が本場!地下鉄がつなぐ蕎麦文化
大阪に生きる人々の暮らしを、ていねいに繋いで走る地下鉄の周辺には、愛すべき蕎麦屋が数多くあります。そういえば蕎麦も、人と人とを繋ぐ食べ物です。暮らしに寄り添い、支えてくれる地下鉄と蕎麦には、どこか似通った親近感を覚えます。蕎麦といえば江戸と思われがちですが、実は江戸蕎麦の源流をたどると、大阪に行き着くのです。江戸蕎麦の老舗暖簾は「藪」「更科」「砂場」が代表格ですが、この中で最も古い暖簾が「砂場」です。天正11年(1583)年に豊臣秀吉が大阪城築城を開始しましたが、その建築資材である砂などの置き場は「砂場」と呼ばれました。ここにできた蕎麦屋が通称「砂場」と呼ばれ、慶長8年(1603)年、江戸開府の後に江戸の町に進出して、現在の老舗暖簾である江戸の「砂場」の源流になったのです。
大阪には今でも「夕霧そば」のように温かくて柔らかな、他ではほとんど見られなくなった蕎麦の文化が生き残っています。また大阪には「こんな蕎麦は邪道だ」などという縛りもないため、蕎麦好きを楽しませてくれる様々なメニューが、季節が変わるごとに登場します。繰り返し通いたくなる魅力的な蕎麦屋がひしめいている、大阪、地下鉄周辺の蕎麦屋を、ぜひ食べ歩いて、楽しんでください。

変わり蕎麦が一年中楽しめる、伝統と趣の隠れ家蕎麦屋
柚子の香りが広がる 名物「夕霧そば」
この店の名物「夕霧そば」(1,550円)は、細かくおろした柚子の上皮が練り込まれた蕎麦。

柚子は毎年、徳島や高知などから一年分を入荷し、それらを手作業でペーストに加工。柚子の白い部分には苦味があるため、人の手で丁寧に上皮だけをすりおろしていきます。柚子の入った蕎麦は一般的に「柚子切り」と呼ばれ、季節商品として提供する店がほとんどの中、「通年で出す店は、うちくらいかもしれませんね」と語る副店長の立石さん。蕎麦を一口すすると柚子の香りが鼻に抜け、さわやかな風味が口に広がります。粉の割合でいうと柚子は3~4割もの量が練り込まれているそう。蕎麦つゆは鰹節、宗田節、鯖節で出汁を取り、砂糖が多めの少し甘い味付けです。
もう一つの名物「お初そば」(1,400円)は、梅肉としそ酢が練り込まれた梅切り蕎麦です。



看板メニューは、色の白い蕎麦粉である更科粉 に擦りおろした柚子の表皮を練り込んだ「夕霧そば」です。この蕎麦は、寛永20(1643)年に刊行された当時の日常食についての料理本「料理物語」に作り方が書かれているような、昔ながらの温かくて柔らかい蕎麦です。日本の蕎麦食文化を象徴する一枚とも言える「夕霧そば」ですが、このように優雅な蕎麦の伝統は、ここ大阪『瓢亭』でしか味わえないといっても過言ではありません。
落ち着いた雰囲気の中でいただく自家製粉の手打ち蕎麦
こだわり満載!地域に愛される老舗蕎麦
3代目の勘田さんは山梨の名人のもとで修行し、この店を継ぎました。名人の味を再現したいという思いを胸に、毎日蕎麦を打っています。


蕎麦打ちや、つゆ に使用する水は、大阪天満宮の御神水を頂戴しているのだそう。「大坂四清水の一つ」と賞された天満天神の水は、天然の地下水で雑味がなく、蕎麦の香りと出汁の深みを支えています。

さっぱりとしたい気分の時は「辛味大根おろしそば」(1,300円)がぴったりです。


老舗ならではのぬくもりを感じる店内で、おいしい蕎麦とゆったりとした時間をどうぞ。
※小麦粉2割、蕎麦粉8割で作られた蕎麦を「二八(そば)」、蕎麦粉10割(100%)で作られた蕎麦を「十割(そば)」と呼びます。
この店が好きな理由は、白魚や白子、牡蠣、鯛の刺身、鱧や鮎などを生かした、ある意味常識外れのメニューに挑戦し続ける気概があるからです。季節により、これらのメニューが入れ替わり立ち替わり登場して、蕎麦好きを楽しませてくれます。癖がなく、上品なもり蕎麦と並んで供される蕎麦つゆは、濃口醤油をベースにしていながら重すぎない、バランスの良い味わいです。
住宅街にたたずむ、あたたかな木のぬくもり感じる江戸前蕎麦の店
店主の手打ち蕎麦と、奥様の柿の葉寿司

お店のメインは3種類の蕎麦。蕎麦の実だけの二八の「せいろ」と、蕎麦の甘皮が入った二八の「田舎」、石臼自家挽きの「十割」です。十割は、店内奥の製麺室にある石臼で店主自ら挽いています。
オーソドックスな「せいろ」(900円)は、喉越しの良さが特徴。




店主が毎日一人で打っている蕎麦は、こだわりを持って丁寧に作り込む分、数に限りがあります。柿の葉寿司も当日分しか作れないので、予約時に確認するのがベストです。
品書きに、せいろ、田舎、十割と、三種類の麺がありますが、毎日、この三種類を手打ちするところに、この店の、「美味しい蕎麦を食べて欲しい」という強い思いがうかがえます。癖のない優しい蕎麦は、毎日食べても飽きない味。濃口醤油を使った関東風の辛汁(冷たい蕎麦の汁)と、淡口醤油を生かした関西風の甘汁(温かい蕎麦の汁)を作り分けているので、どのメニューを食べても満足できます。
契約農家から仕入れて打つ蕎麦と、締めにも人気のあと引くつゆ
完璧なバランスを極める西梅田の名店

同店の蕎麦に使われている蕎麦粉は、蕎麦農家から直接仕入れた玄蕎麦を挽いたもの。毎日、店の2階にある石臼で玄蕎麦を挽いていて、挽きたての蕎麦粉を使うことで香りが良く、ねばりやコシの強い蕎麦に仕上がります。年間契約を結んでいる北海道・音威子府(おといねっぷ)の蕎麦農家は、店主自ら全国を探して見つけたのだとか。肥料や実を刈り取る機械にまでこだわっていている農家で、そこから仕入れた玄蕎麦を使うと、店主にとって一番理想の蕎麦が打てるといいます。そんな同店の蕎麦の魅力を存分に味わいたいなら、喉越しの良さをダイレクトに感じられる定番人気の「二八蕎麦」(1,500円)がおすすめです。

店主が「関西では珍しいかも」という「くるみ蕎麦」(1,800円)は、長野県が発祥とされるメニュー。


厚焼きの卵焼きが目を引く「巻き寿し」(1,800円)は、これを目当てにやってくる人も多い人気メニュー。

土地柄、お酒を飲んだ後に来られる方も多いそう。出汁と醤油のバランスが絶妙で、あとを引くつゆが人気の理由とのこと。昼と夜、どちらも楽しめる名店です。
北海道産の中で、特に美味しい蕎麦粉を使っているのがこの店です。最北端の蕎麦産地と呼ばれる音威子府(おといねっぷ)の最高レベルの蕎麦を、店主が毎日手打ちします。秋蕎麦に比べて繋がりにくい夏蕎麦の生粉打ちを、大量に十割で打つ。並外れた腕前です。麺の個性をしっかり受け止める、濃厚で切れの良いつゆにも脱帽。この蕎麦と蕎麦つゆを求めて、常連客を中心に、目を輝かせた蕎麦通たちが集まります。
何度も通いたくなる、古民家でいただく本格手打ち蕎麦
蕎麦本来の味が楽しめる文の里の名店





古民家ならではの温かみのある空間で、香り高く風味豊かな蕎麦をお楽しみください。
手挽きの粗挽き蕎麦から、繊細な変わり蕎麦まで、様々な蕎麦の表情が楽しめる店です。蕎麦周辺のメニューも多彩で、蕎麦の魅力を引き立てています。幅広いメニューが提供できるということは、技量も優れ、お客さまを喜ばせたいという、ご主人の意気も盛んな証拠。落ち着いた古民家で、蕎麦の味や食感に集中して味わっていると、まるでご主人と一対一で、蕎麦談義をしているような、ほっこり温かい気持ちにさせられます。
今回の取材では、店ごとに異なる魅力にたくさん出会いました。十割や二八、変わり蕎麦など、それぞれに店主の思いや工夫を感じるものばかりでした。打ち方やつゆのつくり方にも、それぞれの流儀が光ります。取材のたびに感動したのは、お店の方の蕎麦づくりに向き合うまっすぐな姿勢。手間や時間を惜しまない姿に、蕎麦にかける情熱を感じました。気になるお店を見つけたら、ぜひ味わいに出かけてみてください。


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瓢亭-
梅田駅
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東梅田駅
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西梅田駅
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なにわ翁-
南森町駅
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南森町駅
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蕎麦切 いもせ-
玉造駅
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そば處 とき-
梅田駅
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東梅田駅
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西梅田駅
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そば切り 鴨嘴-
文の里駅
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手打ちそば 柚楽-
喜連瓜破駅
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大阪 松下-
中崎町駅
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天神 土山人-
南森町駅
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南森町駅
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十割そば 㐂らく(きらく)-
谷町九丁目駅
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谷町九丁目駅
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蕎麦 まき埜-
西梅田駅
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手打ちそば 和-
あびこ駅
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鴨門-
梅田駅
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東梅田駅
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西梅田駅
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四天王寺 はやうち-
四天王寺前夕陽ケ丘駅
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