オオサカ夜景マニア オオサカ夜景マニア

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公開日2025.11.10

紹介してくれるマニアさん

写真家堀 寿伸(ほり としのぶ)さん

2002年に夜景サイト『大阪 at Night -大阪の夜景-』を開設し、2014年に初の夜景写真集「大阪夜景」(創元社刊)を出版。現在は夜景や風景のほか、建築写真等の撮影も手がける。2025年4月に出版した新刊「きらめきの大阪夜景めぐり」(東京ニュース通信社刊)も好評発売中。

夜景には、都市の生命力があふれている!

小学生の頃、よく父親に連れられて十三峠(大阪府八尾市神立と奈良県生駒郡平群町福貴畑との境にある峠)の夜景を見に行っていました。市街地から車で10分ほどのところにある、人気の夜景スポットなのですが、思えばこの頃に見た、キラキラ輝く大阪平野の風景が、夜景を撮るようになった原点になっていると感じます。
私は夜景の中でも、たくさんのビルが立ち並ぶ、きらびやかな大都会の夜景が好きです。美しいだけでなく、都市の勢いや活力のようなものをダイレクトに感じますからね。また高層ビルなどには、航空障害灯という、赤色の明滅する電灯が設置されているのですが、これが呼吸しているように見えて、本当に街が生きているように思えます。そんなところも、明るい時間には体感できない、夜景ならではの魅力だと思います。

大阪の夜景の魅力は「クール」&「温かさ」

大阪というと、他の都道府県の人から見ると、派手でコテコテなイメージを持たれがちですよね。実は私の写真には「大阪のきれいな風景を、夜景を通して広げたい」という思いも込められているのです。私が思う、大阪の夜景の特徴は「バリエーションの豊富さ」。Osaka Metro沿線だけでも、大都会の摩天楼や、水都大阪らしいリバーサイドの夜景、また歴史遺産のライトアップなどを楽しむことができます。
そしてもう一つ。私は東京の夜景のイメージを「白」だと感じているのですが、大阪市内の夜景からは「オレンジ色」を感じます。これは、街灯の色味の違いが関係しているのですが、大都会のクールな雰囲気と温かみが同居した、大阪ならではの夜景が生み出されていると思います。

駅からふらっと歩いて楽しめる13カ所を厳選

「街歩きをしながらいい夜景スポットを探そう」というのが、私の基本的なスタンス。今回ご紹介するのは、Osaka Metroの駅からふらっと歩いて楽しめる13カ所 の夜景で、有名な展望台のほか、思わず足を止めて眺めたくなるような、街なかの夜景スポットもセレクトしています。
そして、美しい夜景を目の前にすると、思わずシャッターを切りたくなってしまいますよね。シーンの切り取り方はもちろん、実は撮影する時間帯によっても、夜景はさまざまな表情を見せてくれるもの。そんな夜景を撮影する楽しみ方もご紹介しているので、今回の記事を通して、見る以外にも“撮る夜景”の魅力も感じていただけたらと思います。
※2025年11月10日時点の情報です。
目次

バラ園から眺める夜景は、高層ビル群が浮かんで見える!?

都会の緑と摩天楼のコラボ。歴史的建造物の人気夜景も

中之島公園は、明治24年に開設した大阪市で初めての都市公園。北の堂島川、南の土佐堀川に囲まれた公園で、都心にいながら緑を感じることができる、憩いのスポットとして親しまれています。
公園内には美術館や図書館、さらに水都大阪の風情を楽しみながらゆっくり食事ができるカフェレストランなどもある。(撮影/編集部)
明るい時間のおだやかな公園の風景にも癒されますが、実は中之島公園は、夜景を楽しみたい人にもおすすめのスポット。堀さんに夜景スポットとしてまずご紹介いただいたのが、公園の中央あたりに位置する「バラ園」。バラ園を左右対称にとらえながら、西の方向を眺めたときに広がる夜景です。
「バラ園の向こうに、Osaka Metro梅田駅周辺や中之島に建つ高層ビル群が見えると思うのですが、これらがなんとなく、地面から浮かび上がっているように見えるのです。ちなみにバラ園の先に、横一直線に走っているのが難波橋で、バラ園の中心線の先には、ライトアップした大阪市中央公会堂の姿が見えます」。
確かにバラ園が現実で、遠くにそびえるビル群は幻の世界であるかのような雰囲気も。
バラ園は東側と西側の2つのエリアに分かれており、「ばらぞの橋」を渡って双方を行き来できるようになっています。次の写真は、街灯に照らされた「ばらぞの橋」の夜景。
「街灯が灯っていると、橋の重厚感がぐっと増すように感じます。ちなみに、ばらぞの橋 は中之島公園に架かる橋の中で、唯一東西の方向に架かっている橋なんですよ」。
橋の奥(西側)と手前(東側)のそれぞれが、美しいバラが咲き誇る庭園になっている。バラの見頃は例年5月頃と10月頃となっているので、この時期にもぜひ訪れたい。
中之島公園といえば、国の重要文化財にも指定されている「大阪市中央公会堂」の夜景も欠かせません。
「明るい時間の格調高い姿も見応えがありますが、夜の幻想的な雰囲気をまとった、夜景ならではの美しさも必見です」。
なお、毎年12月は大阪市役所周辺と中之島公園で「OSAKA光のルネサンス」が開催されており、大阪市中央公会堂のプロジェクションマッピングが人気を集めています。
ネオ・ルネサンス様式の建物で、1918年に竣工。
★マニアさんのおすすめポイント★
中之島公園は2つの川に囲まれた東西に長い公園。東端には「剣先」があり、ここから後述の「八軒家浜」のほうを眺める夜景もおすすめです。
[night-view_01]店舗情報

寺町の風情を感じる街並みで切り取る、七者七様の夜景

大阪の歴史を色濃く残す7つの坂。異世界へといざなう坂も

なにかと派手でコテコテなイメージを持たれがちな大阪ですが、「大阪の街なかでも、風情ある夜景が楽しめるんですよ」ということで、堀さんがおすすめしてくれたのが、大阪市天王寺区の南西部にある「天王寺七坂(ななさか)」と呼ばれるエリア。北から真言坂(しんごんざか)、源聖寺坂(げんしょうじざか)、口縄坂(くちなわざか)、愛染坂(あいぜんざか)、清水坂(きよみずざか)、天神坂(てんじんざか)、逢坂(おうさか)の7つの坂があり、寺社が密集する、寺町の風情を感じる街並みが広がっています。
写真は口縄坂。木々の緑と白い壁とのコントラストが美しく、『夫婦善哉』で知られる文豪・織田作之助が、七坂の中で最も愛した坂だといわれている。(撮影/編集部)
今回、堀さんが一番に紹介してくれたのが、口縄坂の夜景でした。
「口縄坂は、写真のように道幅がさほど広くない、石畳の階段のある坂なのですが、夜の坂道を下から眺めると、異世界の入り口へと吸い込まれていくような雰囲気を感じます」。
明るい時間のさわやかな印象とは打って変わった、幻想的な1枚。
口縄坂の一つ北にある源聖寺坂は、石畳の落ち着いた雰囲気を漂わせています。
「瓦のついた土塀からも、寺町の風情が感じられます」。
坂の下付近にある「源聖寺」にちなんでこの坂名がついたという。
こちらは、口縄坂から2つ南にある清水坂。堀さんは、写真の右手に写っている石垣の見え方にこだわって撮影したといいます。
「石垣の緻密なディテールがわかるよう、陰影を生かすようにして撮りました」。
なお清水坂は、坂の上から街の景色を見渡すことができ、堀さんは「特に夕暮れ時の風景がおすすめ」と話してくれました。
幅の広い石段が特徴的な坂。隣接する「清水寺」が坂名の由来になっている。
★マニアさんのおすすめポイント★
私が坂の夜景を撮影するときは、坂名を刻んだ石碑も入れて撮影することが多いです。どこの坂であるかがすぐにわかりますし、より趣のある一枚が撮れると思います。
[night-view_02]店舗情報

公園の広場×大都会の夜景を独り占め!

園内の小高い丘が絶好の展望スポット。夜の噴水ショーも必見!

2024年のリニューアルを機に、さらに“都会のオアシス感が増した”と人気の扇町公園。実は夜景も魅力のスポットで、中でも堀さんのイチオシは、「遊具広場」近くにある、小さな丘の頂上から見渡す夜景です。
写真のカラフルな遊具が設置してあるところが、小さな丘の頂上。なお、遊具広場は2026年3月末までリニューアル工事を行っており、丘の一部にも仮囲いが建っているところがあるので、訪れる際は足元に気をつけて。(撮影/編集部)
「丘の頂上は、扇町公園内のおすすめの展望スポット。見晴らしがよく、特にOsaka Metro梅田駅方面の夜景が美しく見えますよ」と堀さん。
こちらが実際に堀さんが丘の頂上から撮影した夜景。公園の広場越しに大都会のビル群が見える、扇町公園ならではの夜景が広がっています。
立つ位置を少し南に移動すると、「HEP FIVE」の赤い観覧車を真横から眺めることもできる。
こちらは、園内の「扇町公園パークセンター」の前あたりを歩いている途中で撮影した1コマ。
「歩道の美しい曲線を生かして撮影したところがポイント。公園の歩道の先が、大都会のビル群につながっていくかのような、ストーリー性のある1枚に仕上がっていると思います」。
園内には22時まで営業しているカフェ&レストラン「Botanico扇町公園」(https://botanico-ogimachi-koen.zetton.co.jp/)もあるので、食後に夜景を楽しみながら、散歩を楽しんでも!
さまざまなパターンの噴水が楽しめる「水遊び 憩いエリア」では、夜になると、LEDのフルカラー照明と音楽を組み合わせた「噴水ショー」を開催。続いてご紹介するのは噴水ショーでの1コマで、この写真を撮影するにあたり、堀さんが特にこだわったのは、「LEDライトの色」。
「噴水のまわりは暖色系なのですが、遠くに目線を移すと、ところどころに寒色系のネオンや灯りが見えます。これらと同じような色味のライトが出たところでシャッターを切ることで、色彩的なコントラストを感じられるようにしています」。
まさに夜景マニアの堀さんならではの技ありの一枚。
「夜景は手ブレを起こしやすいので、特に噴水などの動きがあるものを撮影するときは、スマホで撮るときも、三脚のようなもので固定して撮影するのがおすすめです」。
噴水が出るのは10時~21時まで で、平日は30分ごと、土日祝は15 分ごとに、訪れる人たちを楽しませている。なお、噴水ショーは毎日18時から開催。
★マニアさんのおすすめポイント★
2024年にリニューアルした公園には、撮影スポットが満載。Osaka Metro扇町駅の出口を出てからすぐという、アクセスのよさも魅力です。
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水都大阪を象徴する夜景は、トワイライトタイムがイチオシ!

空のグラデーションの美しさ!天満切子模様のライトアップも

江戸時代に、大阪と京都を結ぶ舟運の要衝としてにぎわっていたこの地は、八軒の船宿があったことから、八軒家浜と呼ばれるようになったのだとか。
現在は、目の前を流れる大川に沿って、天満橋と天神橋を結ぶ遊歩道が整備されており、水都大阪を象徴するような風景を眺めながら、のんびり街散策を楽しむことができます。
熊野街道の起点としても知られる八軒家浜。大阪城や中之島をめぐる、水上バスの船着場もある。(撮影/編集部)
堀さんがまず選んでくれたのが、八軒家浜のすぐ東にある天満橋から、西側を見渡したときに広がる夜景。ここで夜景を撮るときは、決まって「トワイライトタイム」と呼ばれる時間帯を狙って撮影しているそうです。
「トワイライトタイムとは、まだ空が暗くなりきっていない、日没後わずか20~30分くらいの時間帯のことをいいます。空のオレンジからブルーへのグラデーションが、水都大阪の雰囲気に最高にマッチしていると思います」。
この写真には、堀さんのこだわりがもう一つ。それは、八軒家浜を流れる大川の、水面の波打つ模様です。
「実はシャッタースピードを調節することで、水面をなめらかに表現することもできます。でも、雲一つない空だったので、なめらかな水面ではなく、波打つ様子がわかるように撮影してみました」。
堀さんのこだわりが詰まった夜景がこちら!「バランスのよいビル群の配置も、ものすごく好きなんです」と堀さん。
天満橋には橋自体にも、スタイリッシュなライトアップが施されています。
「よく見ると、うっすらと模様が見えるのですが、これは、天満切子の切子模様をイメージしているそうです」。
天満切子とは、天満で誕生したカットガラス のこと。ライトアップが水面に映る姿も美しい。
堀さんが紹介してくれたもう一枚は、八軒家浜の遊歩道に佇む燈籠が主役の夜景。かつての八軒家浜には、船を乗り降りするときの安全のために、地元の町人が建てた燈籠があり、写真の燈籠は、残されていた当時の図面をもとに再現したものだそうです。
「この燈籠を夜景に取り込むことで、八軒家浜の歴史をミックスした、雰囲気のある夜景に仕上がります」。
燈籠にふわっと灯るやさしい灯りにもほっこり。みなさんもお気に入りのシチュエーションで、水都大阪の夜景を楽しんでみてください。
燈籠は2基設置されており、それぞれの台座部分に、八軒家浜の歴史などが記されている。
★マニアさんのおすすめポイント★
トワイライトタイムを狙った、水都大阪の雰囲気にぴったりの夜景。夜景を通して、この地域の歴史や文化を知ることもできます。
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夜景マニアをうならせる、今までになかった夜景が眼下に!

御堂筋がズドンと見える!外の空気を感じる展望スポット

2025年6月に開業したばかりのオフィス&商業施設の複合超高層ビル「淀屋橋ステーションワン」。その最上階の30階にある「淀屋橋スカイテラス」は、「無料ですごい夜景が見える!」と、堀さんをうならせた最新の夜景スポットです。
大きなガラスに囲まれたフロアは、なんと一部が天井のない造りに!青空の下で外の空気を感じながら、眼下に広がる大阪の景色を眺めることができます。
目線を上げると、正真正銘の青空が広がる。なお同フロアには「天空の回廊チャペル」を擁する結婚式場や、三つ星レストラン出身のシェフが監修するレストランなどもある。(撮影/編集部)
堀さんが淀屋橋スカイテラスを絶賛する理由は、「御堂筋が上からズドンと見えること」。淀屋橋スカイテラスのように御堂筋を見下ろせる展望スポットは、意外にも、WowUs(「Other Spot」で紹介)と淀屋橋スカイテラスが登場するまで、大阪の街に存在していなかったのだそうです。
中でも淀屋橋スカイテラスは、御堂筋の北側が一望できるスポット。堀さんが撮影した1枚は、オレンジ色を放つ御堂筋が、まるで体内の血液のごとく、大阪の街を力強く流れているかのようです。
ところで御堂筋をよく見ると、走行中の車が「線」を描いているように見えます。
「これは光跡写真のテクニックを使った写真で、“動く光を残しながら撮影している”イメージです。シャッタースピードを調節することで、このような写真を撮ることができます」。
「当たり前ではありますが、信号が青になったタイミングで撮ることも重要なポイント」と堀さん。ちなみに写真の手前に流れているのが土佐堀川、奥の川が堂島川。
カメラを東側に向けた写真は、1枚目の写真とはひと味違うキラキラとした世界観が。
「前述の八軒家浜などがある方角で、まさに宝石をちりばめたような夜景を一望することができます。ライトアップした大阪市中央公会堂(写真手前)や、中之島公園に架かる複数の橋なども見えます」。
東方から流れて来た大川が、中之島公園で、堂島川と土佐堀川に分かれている様子もわかる。
高層ビルの撮影をすることも多い堀さんは、淀屋橋ステーションワンそのものがメインの夜景も推しの1枚に。高さ約150mを誇る、淀屋橋の新しいランドマークビルが、街に溶け込む夜景も素敵です。
Osaka Metro淀屋橋駅直結で、アクセスも抜群。
★マニアさんのおすすめポイント★
御堂筋の夜景が楽しめる、マニア大注目のスポット。無料で利用できるので、明るい時間と夜で、眼下に広がる大阪の風景を見比べてみるのもおすすめです。
[night-view_05]店舗情報
【編集後記】
「特にぱーっと視界がひらけるような夜景スポットを紹介すると、たいていの人がすごい!と感激してくれるんですよ」と話していた堀さん。夜の静けさの中でキラキラと輝く、美しい夜景を眺めていると、ワクワクと胸が高鳴り、ロマンチックなムードも自然と高まるはず。 空気が澄んだ冬は、一年の中でも特に夜景が美しい季節。街歩きやデートコースに、堀さんおすすめの夜景スポットをぜひ取り入れてみてくださいね!
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