小さな箱に広がるコスモワールド オオサカ箱寿司マニア 小さな箱に広がるコスモワールド オオサカ箱寿司マニア

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公開日2020.10.30

大阪隠れ名物!四角に詰まった箱寿司の世界

大阪の名物といえば、たこ焼きやお好み焼き、串カツなどを思い浮かべる方が多いと思いますが、大阪寿司ともいわれる「箱寿司」の存在を忘れてはいけません。
箱寿司の成り立ちをたどると、古くから関西地域で親しまれていた押し寿司にさかのぼります。押し寿司は、長方形の木の枠に酢飯を詰め、サバやアジなど大衆的な魚を具材とし、押し型でギュッと押して作られていました。明治時代に入り、押し寿司の派生料理として、おもてなしを目的とした箱寿司が誕生。鯛や海老、穴子などの高級食材を用い、正方形の木枠で作られたものが基本の形となり、現在も受け継がれています。そのため、箱寿司と押し寿司は同じくくりとして扱われる場合があります。

  • ※当サイトにて記載の営業時間については、通常業務の時間となります。詳細は各店舗・スポットにてご確認ください。
目次

計算され尽くした配列と彩りの妙が箱寿司の魅力

箱寿司の魅力の一つが、コンパクトな箱の中で表現される配列と彩りの美しさです。卵の黄と海老の赤のツートンカラーや、きくらげの黒と鯛の白のグラデーションなどが幾何学模様で並ぶ様は、まるでモダンアート!また、口の中で具と米が程よく融合する味わいも特徴です。時間がたってもおいしいので、ハレの日の食事や手土産、芝居見学の合間のお弁当として重宝されてきました。 ところが近年、仕込みに手間ひまや熟練の技術を要することから、継承者が徐々に減少。それでも、大阪を代表する老舗寿司店が、箱寿司や押し寿司、蒸し寿司などを作り続け、今も伝統の味を守り伝えています。

いま、箱寿司が進化中!

加えて最近では、いわゆる伝統的なスタイルにとらわれず、箱、折、升など限られたスペースの中で、独自の味や盛り付けを追求した進化版・箱寿司を提供するお店が増えてきています。今回は、伝統の箱寿司を作り続ける老舗から、新しい箱寿司を追求するお店まで、バラエティ豊かにラインアップしました。それぞれの個性ある味わいを食べ比べてみてはいかがでしょうか。

日本料理の仕事が凝縮された「二寸六分の懐石」

噛むほどに旨みが増す相乗効果の味わい

ミシュランガイドにも掲載された「箱寿司」(2,650円~)。
箱寿司発祥のお店は、大阪・船場にある天保12(1841)年創業の「吉野寿司」です。江戸時代後期に旅籠屋を営んでいた初代・吉野家嘉助が、持ち帰り寿司店に転業したのが始まり。サバやアジなど大衆的な魚を使った押し寿司を提供していましたが、明治初期に3代目である寅蔵が箱寿司を考案。舌の肥えた旦那衆が集う土地柄に合わせて具材をグレードアップさせることで、船場界隈を中心に大ヒット。その後、ハレの日の料理や芝居見物、手土産にぴったりだと重宝され、大阪中に広まりました。
現在の7代目店主、橋本卓児さん。

現在、工夫をこらしながら伝統の食文化を守るのは7代目の橋本卓児さんです。箱寿司に使われる寿司飯は近江産の硬質米、椎茸は大分県産肉厚の干し椎茸をじっくり煮込み、天然小鯛は絶妙の塩梅と酢加減で〆て、一晩寝かせます。穴子は朝開きの新鮮なものを使い、創業当時から続くタレで香ばしく焼き上げ、厚焼き玉子は白身魚からすり身を作り、時間をかけてふっくらと焼き上げるなど、老舗の看板に甘んじることなく本物の味を目指し、試行錯誤を重ねています。
箱寿司や押し寿司に使われる木枠。
吉野寿司の箱寿司は、縦横二寸六分(約8.5cm)の箱に、日本料理の煮物や酢の物、焼物などの仕事が凝縮されており、計算された配列と美しい彩りは「二寸六分の懐石」とたとえられるほどです。
「江戸前寿司は握りたてのおいしさを味わうのに比べて、箱寿司は口の中でネタと酢飯が合わさり、噛み締めるうちによりおいしくなっていきます。この相乗効果を楽しむのが醍醐味」と橋本さんは語ります。
目に楽しく、噛みしめるほどにご飯とネタの旨みが深まるのが吉野寿司の箱寿司の真髄。先人から受け継いだ教えを大切にしつつ、さらなるおいしさを追求していく姿勢に、老舗の凄みを感じます。
[box-sushi_01]店舗情報

箱寿司のニューウェーブ!フォトジェニックな「升寿司」登場

ウニ、イクラ、カニの豪華具材がキラキラ輝く“魚介の宝石箱”!

観光客でにぎわう黒門市場に位置します。
「黒門市場 魚一」は、大阪の台所として知られる黒門市場にある海鮮料理専門店です。鮮魚卸店として昭和59(1984)年に創業して以来、多くの飲食店や料理人から愛されてきました。約10年前から店内奥でイートインを始めたところ、観光客の間でも評判になり、行列が絶えないお店としてにぎわいを見せています。
ウニ、カニ、イクラが升の中にあふれんばかりに乗っています。
同店で楽しめるのが「イクラとカニとウニの升寿司」(1,500円/税込、みそ汁付き)。山盛りの酢飯に、ぷりっぷりのカニと、濃厚な味わいのウニ、大粒のイクラがこんもりと盛り付けられています。さらに金粉までふりかけられ、フォトジェニック! もちろん豪華さは見た目だけでありません。卸店ならではの厳選されたネタは、鮮度抜群でおいしさも群を抜いています。

ほかにも、新鮮な魚介そのもののおいしさを味わえるオススメメニューが充実。鮮魚を贅沢に盛り込んだ丼ものは約20種類もあり、どれもインパクト&ボリュームともに満点です!
「特選海鮮丼」は、器からはみ出すほど大ぶりのネタが約13種類もON。
中でもオススメは、マグロ、中トロ、ホタテ、海老、イカ、サーモンなど約13種類の旬の魚介を「これでもか!」というほど盛り込んだ「特選海鮮丼」(3,500円/税込)です。しかも、一つひとつのネタが分厚くカットされていて、食べ応えは抜群。丼ものはイートインのほかテイクアウトもOK。

また、浮世絵風のイラストが描かれた壁が目を引く店内は、初めての方でも気軽に利用しやすいカジュアルな雰囲気です。調理の様子を眺めながら食事ができるカウンター席もあるので、お一人さまでも気兼ねなく訪れてみてください。
[box-sushi_03]店舗情報

欲張りさん必見!焼き穴子と煮穴子が味わえる至福のひと箱

シンプルな調理法で穴子本来のポテンシャルを引き出す

大阪のビジネス街、北浜にある伝助穴子専門店「大阪北浜あなごや」は、2019・2020・2021年・2022年と4年連続でミシュランガイドに掲載された有名店。長崎県対馬産をメインとした天然穴子で、1kg以上の“伝助”と呼ばれる極上ものを厳選して使用しています。
大阪だけでなく全国から通い詰める人も多いそう。
店主の山口さんは「高級魚にも勝る旨みを持つ伝助穴子だからこそ、刺身、焼き、揚げ、煮物など全ての調理法において伝助穴子のポテンシャルの高さを感じていただけると思います」と語ります。また、素材を厳選し、できる限りシンプルな調理法で、伝助穴子本来のおいしさを楽しんでいただけるよう心がけているとか。
焼き穴子と煮穴子を食べ比べ!
そこで、伝助穴子のおいしさを存分に味わうためにオーダーしていただきたいのが「相盛り穴子上重」(2,000円より/税込※ランチタイムのみ、※テイクアウトの場合は折代として+100円)。焼き穴子と煮穴子の両方を堪能できる人気メニューです。絶妙な火加減によって極上の味わいに引き立てられた焼き穴子は、厚みのある肉質やふっくらとした食感、炙られた香ばしさで、思わずうっとり。さらに、香ばしく焼き上げた穴子の骨や頭を、醤油、酒、みりんなどで煮つめた自家製のタレが、奥深い旨みを加えています。一方煮穴子は、創業時より追い足し続け旨味が凝縮した煮穴子専用のお出汁でじっくりと炊き上げたもの。舌の上でふわりととろけるような食感と、口いっぱいに広がる風味がたまりません。ご飯がどんどん進みます!
匠の技で繊細な穴子の旨みを引き出します。
焼き穴子や煮穴子以外に、もっと伝助穴子を味わってみたいという方には「伝助穴子づくしコース」(8,000円)がオススメ。炙り刺しや薄造りといった伝助穴子刺し六彩盛りに始まり、白焼き、タレ焼き、出汁巻き、肝煮、揚物、しゃぶしゃぶなどで伝助穴子が存分に味わえる充実の内容です。「伝助穴子ってこんなにおいしかったのか!」という声があがること多数。伝助穴子の魅力に酔いしれる時間をどうぞ。
[box-sushi_04]店舗情報
【編集後記】
ここ数年、箱寿司は脚光を浴びつつあります。上で紹介した「吉野寿司」が『ミシュランガイド2019』のビブグルマンコーナーに掲載されたことが大きなきっかけとなり、見た目の美しさはもちろん、伝統に裏打ちされた確かなおいしさにハマる人が増えているようです。それを受けて、各店も新たなスタイルにチャレンジし、私たちにさまざまな箱寿司のおいしさを届けてくれています。そんなオススメのお店をほかにも紹介していますので、ぜひ食べ比べてみてください!
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