日本の神 やおよろず オオサカユニーク神社マニア 日本の神 やおよろず オオサカユニーク神社マニア

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公開日2020.12.10

紹介してくれるマニアさん

神社巡拝家佐々木 優太さん

白シャツとジーンズに下駄が基本スタイル。これまでに巡った神社は1万社以上で、神社にまつわるエピソードは自身が足を運び、それぞれの神社やその街で出会った方から話を聞き得たものばかり。

歴史ある大阪の街で個性豊かな神社を巡る

神社は全国に8万社以上あり、それぞれに異なった歴史やエピソードがあります。神社は古来より私たちの暮らしと密接し、様々な文化が生まれた場所でもあります。なかでも、かつて都が置かれていた大阪は、歴史的にも神社的にも濃い地域。独特の慣習や授与品、建造物などが残っています。

私は神社を参拝する際には、“あやかり”を大切にしています。商売繁盛の神様を参拝して、お守りをいただいたから成功するわけではありません。神様にあやかって、自分が頑張ってはじめて叶えることができます。Osaka Metroに乗って、叶えたい願いに適した神社を探してみてはいかがでしょうか。きっと、神様があなたの願いに力を貸してくれるはずです。

  • ※当サイトにて記載の営業時間については、通常業務の時間となります。詳細は各店舗・スポットにてご確認ください。
目次

なぜ独特な慣習や授与品が多いのか?

神社はその土地や住民のための神様が祀られ、地域の文化や産業と深くつながっています。昔は現代のように交通手段が発達してなかったため、外からの情報が少なく地域独自の文化や風習というのが生まれていきました。神社もその一つで、一風変わったお祭りやお守りなどが人々の暮らしと共に、独自に発展したと考えられます。地域の特徴が濃く表れる神社は、一つとして同じ歴史や特徴はなく、他の地域からみるとユニークなものが多いのです。

神社は地域の歴史を知れる場所

玉造稲荷神社のある「玉造」という地名は、もともと勾玉を作る職人が住んでいた地域だったことが由来します。土佐稲荷神社の「土佐」は、旧土佐藩の蔵屋敷に祀られていたことから付きました。ほかにも鶴見区の「鶴見」は鶴見神社からとったと言われているなど、神社と地域の歴史は強く結びついていることがわかります。神社の名前から地域の歴史を紐解いていくのもおもしろいですよ。

豊川稲荷社が境内に鎮座【巽神社】

暮らしの中に根付く地域の守り神

巽神社の本殿。ご加護を賜ろうと、地域の人たちが参拝に訪れる。
巽の土地の氏神様として、地域の発展と平安を見守り続ける巽神社。地域の人たちにとってかけがえのない存在です。夏祭りや秋祭りでは地車(だんじり)が町内を賑やかに駆け抜け、五穀豊穣や商売繁盛などを神様に感謝する風習が今も残ります。
豊川稲荷社への入り口。静かで穏やかな空気に包まれている。
境内北側には、全国でも珍しい「豊川稲荷社」が鎮座しています。「豊川稲荷」というと、愛知県豊川市にある曹洞宗(そうとうしゅう)の寺院「豊川稲荷」が有名ですが、ここでは「豊川稲荷“社”」と呼ばれ神社として祀られています。
「お稲荷さん=狐を祀った神社」というイメージが一般的ですが、そもそもお稲荷さんは神社と寺院の明確な区別はないのだとか。それならなおさら「豊川稲荷社は、お寺なの? 神社なの?」と、謎は深まるばかり。
先人たちの信仰心に支えられ、困難を乗り越えて復興。
「なぜ、現在のかたちになったのかは定かではないですが、古い書物などを読み解くと、先人たちの信仰心の高さをうかがい知ることができます」と、宮司さんが話してくれました。安政元年(1854年)の大地震によって倒壊し、荒れ果てた状態で放置されていた時期もあったそうですが、ご神木の根本あたりに2匹の子狐が見つかったことから、再建の話が持ち上がり村の総力を挙げて再興に取り組みます。しかし、なぜか神社神名帳に豊川稲荷社が漏れていたことから、「記載のない神社は再興できない」と言われ困ってしまいます。そこで、東大阪の若江から賽神社を遷し祀り、そこに豊川稲荷を合祀することで再興を実現。どうしてもこの地にお祀りするんだという、先人たちの熱意を感じられる逸話として語り継がれているのだとか。
一緒に祀られる賽神社は導きの神様として、災いを防ぎ進む道を教えてくれるそう。農業と産業を司り、五穀豊穣や商売繁盛を祈願する稲荷神と併せてお参りすれば、より一層のご利益を授かれそうです。

★マニアさんのおすすめポイント★
巽神社の境内にある「豊川稲荷社」がとても珍しいです。豊川稲荷とは、実は曹洞宗の寺院。つまり、“お寺”なのですが、ここでは「豊川稲荷“社”(=神社)」として鎮座しています。いうなれば、お寺神社?ですかね。全国的にもとても変わった神社です。
[shrine_01]店舗情報

ご利益のテーマパーク【生國魂神社】

国生み神話の原点となる大阪最古の神社

「生國魂造」と呼ばれる、全国で唯一の建築様式の本殿。戦災や天災を受け、その度に再建し現在に至る。
約2700年の歴史があり、大阪の総鎮守と称される大阪最古の神社であり、浪花っ子には「いくたまさん」の愛称で親しまれています。初代天皇の神武天皇が国土の平安を願い、生島大神(いくしまのおおみかみ)と足島大神(たるしまのおおみかみ)をお祀りしたのが始まりとされています。両ご祭神は日本列島の御霊(みたま)とされ、古代の大阪湾から日本の文化や歴史が始まったと伝わっているそう。日本民族の原点ともいえる、古社の一つだということが分かります。
縁結びや健康長寿、合格祈願など、境内社ごとの様々な絵馬が揃う。
境内には12の境内社があり、異なったご利益を一度に授かれる“いくたま参り”は、忙しい現代人にオススメです。本殿を含めて8社の絵馬があり、自分にピッタリの神様にお願いすることができます。「浄瑠璃神社」は芸能上達、菅原道真公をお祀りする「生玉天満宮」は合格祈願、女性の守護神として崇められる「鴫野神社」は縁結び、悪縁切りなどのご利益があるとか。ほかにも、家づくりの神様や勝運の神様など、多くの神様が鎮座します。
境内にある江戸中期に活躍した文化人・井原西鶴の銅像。延宝8年(1680年)に同社で一昼夜休まず俳句を詠み続ける、「矢数俳諧(やかずはいかい)」の新記録を達成した。
さらに、ここは様々な文化が生まれ発展した場所でもあります。江戸時代には境内に芝居小屋や見世物小屋が軒を連ねていたとか。上方落語の祖・米澤彦八が境内で落語を行ったり、『曾根崎心中』の舞台になったりと、上方文化発祥の地としても知られています。また、昭和の文豪・織田作之助の代表作『木の都』にも、同社の当時の様子が描かれています。こういった話しからも人々の暮らしの中で、神社が中心的な存在だったことがうかがえます。
都会の森に鎮座する境内社。神聖な空気を感じながら散策して。
現代まで伝わる神話の時代よりもはるか昔から、神聖な場所として暮らしの平安や発展を見守ってきた「いくたまさん」。大阪城築城の頃から続く「能楽」の奉納や、大阪三大祭りのひとつ「生國魂祭(いくたままつり)」など、今も歴史や文化が息づく大阪が誇る神社の一つです。

★マニアさんのおすすめポイント★
こちらには境内社がいくつもあり、その社(やしろ)ごとにご利益の異なる絵馬があります。芸能上達や産業・商業発展、縁結び・悪縁切り…など、まるで「ご利益のテーマパーク」です。
[shrine_02]店舗情報

ユニークな表情の置き守り【少彦名神社】

人々の心に寄り添う日本医薬の総鎮守

無病息災や疫病退散のご利益があるとされる置き守り。写真奥から「大福虎」(2,500円)、「福虎」(1,700円)。
医薬の神様をお祀りする日本医薬の総鎮守。地元では「神農(しんのう)さん」の愛称で親しまれています。“くすりのまち”道修町(どしょうまち)に鎮座し240年。病気平癒・健康成就・医薬安全・厄除けなどで厚い信仰を集めます。御祭神は少彦名命(すくなひこなのみこと)と炎帝神農(えんていしんのう)の2柱で、どちらも医薬の神様です。江戸時代から道修町は医薬発祥の地として栄えていて、道修町から全国の問屋へ卸されていました。その品質の高さから“道修町ブランド”として知られています。現在も大手医薬品メーカーの本社や支社が多くあるのは、そんな歴史的背景があるからなんですね。
戦火を逃れた本殿は、国の登録有形文化財に指定されている。
独特のお守りとして人気なのが、張り子の虎の置き守りです。はじまりは、文政5年(1822年)に大阪で大流行した疫病(コレラ)。どうにか流行を収めようと、道修町の薬の販売業者が力を合わせて「虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)」という薬を作り、神前で祈祷し病の人へ無料で施しました。その際に、病除祈願のお守りとして、薬と一緒に施与(せよ)されたのが張り子の虎でした。現代の疫病、コロナ封じのお守りとして、改めて注目を集めています。
疫病退散や無病息災を祈願する黄色の祈願布。
人々の無病息災を祈り続けてきた同社。病気で苦しむ人だけでなく、支える家族にとっても心のより所となれるよう、参拝者の心に寄り添ってきたそうです。「病気になる前に、ご自身の体や心をいたわっていただきたいですね」と、宮司さん。

★マニアさんのおすすめポイント★
鎮座地の道修町は、秀吉公の時代より薬屋や薬問屋が集まっています。コロナ禍の中、医薬の神様のご利益にあやかろうと改めて注目されている神社です。
[shrine_03]店舗情報

導きの「八咫烏」おみくじ【阿倍王子神社】

地名の由来になった歴史ある神社

大阪府下で唯一、当時と同じ場所に現存する王子社。
仁徳天皇が創建したという記録が絵巻物に残る、歴史のある神社です。さらに、阿倍野は古代の豪族・阿倍一族が、大化の改新の頃に奈良から移り住んだ土地で、一族の氏神様としてもお祀りされていました。阿倍一族が奈良へ戻るなど、時代の流れで衰微したこともありましたが、平安後期に熊野信仰が盛んになり、京都から和歌山を結ぶ熊野街道沿いにあったことから、王子社として再び栄えたそうです。熊野の神様をお祀りしていることから厄除開運、弘法大師が疫病退散の祈祷をして成就したことで、病気平癒などのご利益があると言われています。
幸運へ導いてくれる神様をモチーフにした「やたがらすのおみくじ」(500円)。
境内には熊野大神の神使いといわれる、八咫烏(やたがらす)が祀られています。昔、仁徳天皇の夢の中に童子が現れ、「この国を安らかにするには、熊野大神を祀りなさい」とお告げがあったのだとか。そして、調べたところ老松の上に三本足で目が太陽のように赤い八咫烏がいたそうです。その場所に創建したのが阿倍王子神社だと伝えられています。そんな、伝説の八咫烏をモチーフにしたおみくじが人気。導きの神様からどんなメッセージがいただけるかワクワクします。
阿倍王子神社から歩いて3分ほどの場所にある安倍晴明神社。境内には晴明公の銅像や産湯井の跡などがある。
さらに、境外末社には陰陽師で有名な安倍晴明公をお祀りする、「安倍晴明神社」が鎮座します。晴明公は阿倍一族の子孫で、阿倍野で生まれたと伝えられているそうです。頭脳明晰で学問を好み、京都に上り陰陽道や天文学を学びました。占いの腕も素晴らしく「百占奇中(ひゃくせんきちゅう)神のごとし」との呼び声が高かったそうです。
安倍晴明公の家紋でもある五芒星が描かれた「きつねのおみくじ」(500円)。
そんな、占いの名人でもある晴明公が祀られる同社にあるのがキツネのおみくじ。実は、晴明公のお母さんは白狐だったという言い伝えから、キツネをモチーフにしたおみくじです。さらに、境内には「占い相談コーナー」(相談料2,000円~)も。占いの神様をお祀りする神社だけに、ズバリ的中されそうです。

★マニアさんのおすすめポイント★
阿倍野区の区名は、阿倍氏が昔ここを本拠地にしたことに由来するそうです。陰陽師で有名な安倍晴明は阿倍氏で、その出身地と言われているのが安倍晴明神社です。頒布物には五芒星が記された特徴的な物が多いです。
[shrine_04]店舗情報

オリジナル御朱印帳が人気【豊國神社】

草履持ちから天下人に!出世の神様に祈願

天守閣に鋭い視線を向ける豊臣秀吉公の銅像が鎮座。存在感と迫力に圧倒される。
大阪の中心にある大阪城公園に鎮座し、豊臣秀吉公、秀頼公、秀長卿をお祀りしています。明治13年(1880年)、現在の中之島に京都の豊國(とよくに)神社の別社として創建され、大正10年(1921年)に府社豊國神社(ふしゃほうこくじんじゃ)となり独立しました。戦後、大阪市の発展に伴う大阪市役所拡張のため、昭和36年(1961年)に現在の場所に引っ越したそうです。

ご利益は言うまでもなく「出世開運」。草履持ちから天下人になった秀吉公の存在は、頑張れば成し遂げられるという希望の光を与えてくれます。周囲からの人望が厚かったという、秀吉公の才知やリーダーシップにあやかろうと多くの人が訪れます。
オリジナル御朱印帳。左から1,500円(御朱印入り1,800円)、1,700円(御朱印入り2,000円)。
また、近年の御朱印ブームからオリジナルの御朱印帳が人気で、特に黒色をベースに夜桜をイメージした御朱印帳はマニアの中でも話題です。裏表紙には“出世カブト”といわれる、秀吉公の馬藺後立兜(ばりんうしろだてかぶと)の刺繡が施された縁起の良いデザイン。さらに、令和2年の太閤祭(8月18日)に新しい御朱印帳が仲間入り。鳥居やひょうたんなどのモチーフが刺繍された、モダンなデザインがオシャレな一冊です。
合祀される七夕神社は縁結びや安産の神様として、女性からの信仰が厚いそう。
本殿以外にも、ぜひ参拝してもらいたい境内社があります。一つは、七夕神社と玉春神社、玉繁神社を合祀する白玉神社。芸事上達や商売繁盛のご利益があるといわれ、当時花街だった新地の芸子や芸者から崇敬されていたそう。そしてもう一つが、若永神社。秀吉公の御用商人だった、豪商・淀屋の屋敷内に鎮座していた稲荷神社です。実はこの二つの神社、明治や大正の頃は本社をしのぐ人気だったとか。大阪の街と同社の繁栄を支えた陰の功労者として、知る人ぞ知るありがたい神様です。訪れた際は、境内社の参拝もお忘れなく。

★マニアさんのおすすめポイント★
大阪城跡に鎮座する神社で、御祭神は豊臣秀吉公です。秀吉公の生涯にあやかって仕事運の向上はもちろん、すべての願い事に追い風を与えてくれそうです。
[shrine_05]店舗情報
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