公開日2023.04.10
紹介してくれるマニアさん
レトロな街好き・商店街好きブロガーあさみんさん
名古屋を拠点に、全国各地のレトロな街並みや懐かしい商店街、変わった観光スポットなどをめぐり、自身のブログ『BQ B-spot explorer』で取材記事を配信。訪ね歩いた300以上の商店街から選りすぐりの50を紹介している著書『商店街さんぽ ビンテージなまち並み50』(学芸出版社)が好評発売中。そのほか、雑誌等での執筆も手がける。
ビジュアル重視で商店街を散策中
商店街めぐりを始めるようになったのは、福岡県北九州市小倉北区にある「旦過市場」を訪れたのがきっかけ。旦過市場は、大正時代から続く歴史ある市場ですが、「北九州の台所」と呼ばれ、今も賑わっていることに感銘を受けました。以来、全国各地の商店街を訪れていて、特に注目しているのはファサード(正面から見た外観)や看板、装飾や店の佇まいなど、ビジュアル的な部分です。もともとレトロなものが好きだったこともあり、たとえば現在営業中のお店の看板の後ろに、前に営業していたお店の看板が残っていたりすると、「残ってくれていてありがとうございます!」と、心の中で叫んでしまいます。
上を向いて歩いてみよう!
私が商店街を歩いているときは、目線はほぼ上を向いている状態。特に看板は、デザインやキャッチフレーズを見て楽しむのはもちろん、創業年や取り扱っている商品などの情報がコンパクトに集約されているので、お店の特徴を把握するのにも役立ちます。こんな風に、ビジュアル目線で商店街を訪れるのも、楽しみ方の一つではないかと思います。そして気になったお店でお昼ごはんを食べたり、ショッピングを楽しんだりしながら、商店街で有意義な時間を過ごしてほしいですね。
まずは近所の商店街から散策をスタート
商店街散策をしてみたいと思った方は、まずは近所の商店街からスタートするのがおすすめ。普段何気なく通っていた商店街も、ユニークな看板を見つけたり、今まで見過ごしていたお店に気づいたり、新しい発見があるかもしれません。
さらに楽しみたくなったら、Osaka Metroを使って少しずつ訪れるエリアを広げてみたり、メジャーな商店街へ出かけてみたりしましょう。大阪は商店街の数が多く、地域密着のにぎやかな商店街がたくさんあるので、きっとおもしろい体験ができると思います。
さらに楽しみたくなったら、Osaka Metroを使って少しずつ訪れるエリアを広げてみたり、メジャーな商店街へ出かけてみたりしましょう。大阪は商店街の数が多く、地域密着のにぎやかな商店街がたくさんあるので、きっとおもしろい体験ができると思います。
目次
“天満宮のおひざ元”を感じさせる装飾【天神橋筋商店街】
大阪観光の楽しさを演出。天神祭にちなんだ装飾も
「日本一長い商店街」としても有名な、大阪天満宮の門前町として発展した商店街。観光客はもちろん地元の人たちからも愛される、大阪を代表する商店街の一つです。
アーケードのある天神橋筋商店街は、1丁目・2丁目・3丁目・4番街・4丁目北・5丁目・6丁目の、7つの商店街で構成。商店街ごとにファサードや装飾が変化しますが、「大阪天満宮にちなんだものが多く、それを探すのが楽しい」とあさみんさん。
歩いていてよく目にするのが、大阪天満宮の御祭神である菅原道真公が好んだという梅の花。1丁目商店街のファサードや、5丁目商店街の店看板などに、その姿を見ることができます。
歩いていてよく目にするのが、大阪天満宮の御祭神である菅原道真公が好んだという梅の花。1丁目商店街のファサードや、5丁目商店街の店看板などに、その姿を見ることができます。
大阪天満宮といえば、日本三大祭の一つでもある「天神祭」が有名。天神祭にちなんだ見ごたえのある装飾もあり、来訪客の目を引きつけます。
その中で、オリジナリティを発揮しているのが4番街商店街と4丁目北商店街。それぞれてんとう虫と、かわいい天使がマスコットキャラクターになっており、てんとう虫は点が4つで「天四」を、天使は「てんし(天四)きた(北)」を意味しているそうです。
最北端の6丁目商店街には、江戸時代後期の大坂の街並みを復元した「大阪くらしの今昔館」があり、同施設の完成に合わせて入り口のファサードもステンドグラス風にリニューアル。日本一長い商店街の顔にふさわしい、堂々とした造りとなっており、出口手前で商店街の方を振り返ると、先代のファサードに取りつけられていた、天神祭の御神輿のレリーフを見ることができます。
★マニアさんのおすすめポイント★
大阪グルメが充実していることで有名ですが、装飾にも注目しながら、歩いてみるのも楽しいですよ。
大阪グルメが充実していることで有名ですが、装飾にも注目しながら、歩いてみるのも楽しいですよ。
[arcade_01]店舗情報
マニアがうなるネオンのファサード【玉造地区商店街】
発足時からの姿が夜空を彩る。真田モチーフの装飾も随所に
長堀鶴見緑地線玉造駅5号出口を出てすぐのところからはじまる、地域密着型の商店街。「玉造日之出通北商店街」「玉造日の出通中商店街」「玉造日之出通南商店街」「玉造商店会」 の4つの商店街で構成されており、一番南の南商店街は、千日前線鶴橋駅からも徒歩で訪れることができます。
商店街ごとに異なる装飾が施されていますが、やはり真田丸跡のある「三光神社」が近くにあることから、真田幸村をモチーフにしたアイテムが随所に。イラストが描かれた垂れ幕のほか、六文銭がアレンジされた店看板なども目にすることができます。
そして、あさみんさんが絶賛するのが、南商店街の最南端にあるファサード。文字部分とファサードの周囲にネオン管がついており、夜になると光ります。「ネオンが灯るファサードはあっても、一部が消えてしまっていたり、まったく光っていなかったりするものもあるのですが、こちらは消えているところが一つもなく、丁寧に維持されていることがわかり、すばらしいことだと思います!」
ネオンのファサードがある南商店街には、ビリヤードと卓球が楽しめる「日之出倶楽部」というレトロマニア必見のお店があります。ピカピカのビリヤード台の周りには、先々代の時代から集めているという、アンティークのおもちゃやイラストなどがディスプレイされており、笑顔が素敵な女性店主がゲストを迎えてくれます。
★マニアさんのおすすめポイント★
ネオンが灯るファサードは必見。レトロな雰囲気満載のお店もあります。
ネオンが灯るファサードは必見。レトロな雰囲気満載のお店もあります。
[arcade_02]店舗情報
下町風情を残しつつリニューアル【城東商店街】
レトロ好きにはたまらない姉妹的商店街も
昭和30年代に誕生した、城東区を代表する商店街。2020年にリニューアルしたという、シンプルな木目調のファサードが、おしゃれで親しみやすい雰囲気を醸し出しています。
入り口からすぐ目に入るのが、ファサードと同じく2020年にリニューアルした真っ白なアーケード。先代のアーケードと同様、幅の広いテント地を使ったシンプルなアーケードとなっており、「昭和を感じさせる下町の風景との、コントラストが素敵です」と、あさみんさん。
あさみんさんのもう一つのおすすめポイントが、入り口を入って少し進んだところにある、もう一つのアーケード。こちらはメインのアーケードから分岐しているもので、通りの先の方に、あさみんさんの心を奪うレトロ調の色彩が!
実は、アーケードの色が違う部分は「城東中央商店街」という姉妹的商店街。あさみんさんは2017年にもこちらの商店街を訪れたことがあるそうで、「ここのアーケードだけは以前と変わらぬ姿のまま、残っていてくれてよかった!」と、レトロ好きならではの熱い想いを語ってくれました。
★マニアさんのおすすめポイント★
真っ白なアーケードと昭和な街並みとのコントラスト。分岐した通りの奥にある、レトロなアーケードにも注目です。
真っ白なアーケードと昭和な街並みとのコントラスト。分岐した通りの奥にある、レトロなアーケードにも注目です。
[arcade_03]店舗情報
歩くたびに発見のある贅沢な商店街【鶴見橋商店街】
レトロな見どころが満載。鶴を探す楽しみも
明治時代に工場の従業員向け社宅が建てられたことをきっかけに形成された、歴史ある商店街で、かつては天神橋筋商店街に次ぐ「日本で2番目に長い商店街」と称されていたこともあるのだとか。
「鶴見橋」の名は、工場の近くで鶴の飛来がよく見られたことが由来となっており、国道26号線沿いにある商店街のファサードにも、鶴をモチーフにした装飾があしらわれています。
「鶴見橋」の名は、工場の近くで鶴の飛来がよく見られたことが由来となっており、国道26号線沿いにある商店街のファサードにも、鶴をモチーフにした装飾があしらわれています。
商店街は1番街から8番街まであり「番街ごとに店看板のデザインをはじめ、アーケードの造りや街路の模様などが異なっていて、これだけでもイメージがガラリと変わる」とあさみんさん。ほかにも、番街ごとのテーマカラーや照明など、チェックしたいことが盛りだくさんで、「歩くたびにいろいろな発見ができる、贅沢な商店街だと思います」。
もう一つのおすすめポイントが「鶴を探す楽しみ」。商店街を歩いている途中にも、鶴をモチーフにしたさまざまな装飾を目にすることができます。
5番街と6番街で、一度アーケードが途切れる同商店街。もとはひと続きだったものが、2003年に、なにわ筋が西成区梅南2丁目交差点まで延伸したことで、分断されてしまったそうです。
この分断された場所に設置されたのが、サークル状のモニュメント。これも鶴をイメージしたものとなっており、5番街と6番街を視覚的に一体化させる効果もあるそうです。
この分断された場所に設置されたのが、サークル状のモニュメント。これも鶴をイメージしたものとなっており、5番街と6番街を視覚的に一体化させる効果もあるそうです。
★マニアさんのおすすめポイント★
全長約1㎞の歴史ある商店街。鶴をモチーフにした装飾など、チェックしたいポイントが満載です。
全長約1㎞の歴史ある商店街。鶴をモチーフにした装飾など、チェックしたいポイントが満載です。
[arcade_04]店舗情報
24時間にぎわう街を見守り続けるアーケード【千日前商店街】
龍の巨大オブジェがお出迎え。2つの寺の風情を感じさせる工夫も
「道頓堀商店街」と「なんばグランド花月」を結ぶ、大阪を代表する繁華街にある商店街。千日前通をはさんで「北側」と「南側」に分かれており、最北端の入り口では巨大な龍のオブジェが、24時間来訪客を温かく迎えてくれます。
現在のアーケード商店街は、1997年(平成9年)に4億円もの費用をかけて整備されたもの。完成披露式典には、当時の大阪府知事の横山ノックさんや大阪市長の磯村隆文さんも訪れたそうで、北側のアーケードの入り口の梁には、両氏と、建設にかかわった人すべての名前を印刷した、千社札が貼り付けられています。
北側の商店街の近くには「法善寺」と「竹林寺」の2つのお寺がありますが、現在の商店街は「お寺との境界線を作らないこと」がコンセプトになっているのだとか。たとえば、自然石を敷き詰めた商店街の街路は、お寺の石畳をイメージ。また、北側商店街の南北に建てられた大屋根ゲートは、お寺や神社で多く見られる「本瓦葺き」という工法で造られているそうです。
千日前通の大きな信号を渡って、南側の商店街へ。南側の商店街は、「千日前」と大きく書かれたファサードが目印になっています。
商店街は道幅が広く、しかもアーケードが太陽の光を通すので、商店街内はいつも明るく、開放的な雰囲気。
ところであさみんさんが、「もしかしたらこちらの商店街のアーケードは開閉できるかも…」と話していたので、本当のところはどうなのか、商店街の方に聞いてみました。
確かにアーケードは開閉式だそうですが、残念ながら「実際にアーケードを開くことはほとんどない」とのことです。
ところであさみんさんが、「もしかしたらこちらの商店街のアーケードは開閉できるかも…」と話していたので、本当のところはどうなのか、商店街の方に聞いてみました。
確かにアーケードは開閉式だそうですが、残念ながら「実際にアーケードを開くことはほとんどない」とのことです。
「この通りにアーケードがなかったら、すごく不便だったと思う」とあさみんさん。確かに、雨の日も快適にグルメや観光を楽しむことができ、夜も明るい空間で安全に移動することができるのは、この通りに沿ってアーケードが設置されているおかげ。これは千日前商店街に限ったことではありませんが、商店街を訪れるたくさんの人たちが、知らず知らずのうちにアーケードの恩恵にあずかっているのです。
★マニアさんのおすすめポイント★
龍のオブジェがお出迎え。アーケード越しに降り注ぐ太陽の光が、にぎやかな商店街をやさしく照らしています。
龍のオブジェがお出迎え。アーケード越しに降り注ぐ太陽の光が、にぎやかな商店街をやさしく照らしています。
[arcade_05]店舗情報
【編集後記】
取材後に早速、あさみんさん目線で、近所の商店街を歩いてみました。古いお店の看板の上に、新しいお店の看板が掲げられているのを見つけて嬉しくなりました。また、古くからある制服屋さんのお店のロゴが、意外とポップでかわいかったという新たな発見も!私もすっかり“商店街を歩くときの目線は上”が定着。みなさんもすぐにおもしろさを実感できると思うので、グルメやお買い物と併せて商店街のアーケード散策を楽しんでみてください。
取材後に早速、あさみんさん目線で、近所の商店街を歩いてみました。古いお店の看板の上に、新しいお店の看板が掲げられているのを見つけて嬉しくなりました。また、古くからある制服屋さんのお店のロゴが、意外とポップでかわいかったという新たな発見も!私もすっかり“商店街を歩くときの目線は上”が定着。みなさんもすぐにおもしろさを実感できると思うので、グルメやお買い物と併せて商店街のアーケード散策を楽しんでみてください。
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